2017/07/06
ビッグデータ業界のキーパーソンにお話をうかがう「ビッグデータマガジン・インタビュー」。
100ヵ国以上30,000社以上の企業で使用され、96%という顧客満足度を誇るBIプラットフォーム「QlikView」。今回は「QlikView」を開発したQlikTech Inc. の日本法人、クリックテック・ジャパン株式会社 安部知雄さまと小澤宏さまへのインタビュー後編です。
前篇では、QlikViewの特徴やしくみを中心にお伝えしましたが、今回は、実際にどのような企業でQlikViewがどう活用されているかなど、QlikViewの魅力にせまります。
―――QlikViewを活用されているユーザー事例を教えて下さい。
IT部門の試行錯誤をサポート
東芝セミコンダクター&ストレージさまからは、IT部門トップの方に大変良い評価をいただいています。IT部門でデータ分析モデルを作ってビジネス部門に提示した際に、「必要なデータが足りない」とか「自分たちが見たい分析軸ではない」といった理由で、「もう一回作り直したい」という要望が寄せられます。そのような場合QlikViewは、わずかな時間で分析モデルを作り直して提示することができます。「まさに試行錯誤が繰り返せる分析ツールだ。過去のBIツールでは、こういった対応ができなかった。」と、喜んでいただいています。
コスト削減&全員がBI活用
小岩井乳業(メーカー)さまでは、2005年頃から他社BIツールをお使いだったのですが、5年ほどした更新時期にパートナー経由でQlikViewを採用いただきました。売上や損益の予実管理のみならず、商圏分析などにも活用いただいております。QlikViewの導入では、高速レスポンスに加え、導入コスト、運用コストの観点でも大変に喜んでいただきました。
操作性や直感的なUIという点でも、項目を選択していく対話形式による操作で必要な情報を分析できることから、各担当者が独自の分析軸を設定して、これまでになかった活用を始めるケースもあるそうです。これを顕著に示しているのが、経営層におけるQlikViewの活用です。「最近では、営業のトップである役員自らが営業資料を作成し、会議で使用するようになりました」とおっしゃっています。
チェーンストアの増収に貢献
2013年12月5日「創業来29期連続増収」と発表された回転寿司チェーンであるあきんどスシローさまは、寿司皿に搭載されたICタグから収集したデータをもとに、メニュー開発、廃棄率の低減、原価管理などにQlikViewを活用されています。
また、過去から溜まっていた40億件のデータが、QlikViewの採用によって活用されるようになったそうです。高速に分析できる点や、分析の軸を自由に変えられ、シミュレーションしながらの分析が行える点を評価いただいております。
―――ユーザー企業や御社での、人材の課題について教えてください。
アナリストという役割の欠如
海外にはデータを分析する専門のアナリストが社内にいることが多いのですが、日本ではその役割の人がいないように思います。たまたま、そのようなスキルとマインドを持った人材がIT部門や企画部門にいるというケースが日本でも見られますが、それはたまたまであって、意図して組織化したり、人材を配置したりする企業は少ないと思います。
“アナリスト”という役割の人材がいない企業は、IT部門と現場の業務部門の隔たりが大きいとも感じています。IT部門は現場の業務を理解しないままITツールやレポートを現場に提供し、一方で、業務部門側はIT部門から渡されたツールを受け身で使い、渡されたレポーティング・データを見ることしかできないため、データからビジネスを考えるということをやめてしまっているように感じます。
マインドの不足
また、何が何でも「お客さまへ提供する価値を増やすぞ!」「経営成果を上げるんだ!」「利益を生み出すぞ!」というような“マインド”が、間接部門に不足しているのでは?とも感じます。本当に経営にインパクトを与えたいのならば、与えられたタスク、指示された業務をこなすのではなく、「目的のためにどんなデータが足りないのか?」「どんなツールが必要なのか?」「データをビジネスにどう繋げたらいいのか?」と、常に自問し続けることが必要です。このような人材には、強いモチベーションというか、マインドが備わっていると思っています。
そのようなマインドを持った方がBIツールを活用すると成功すると思います。
教育について
子供たちが学校で受けている教育をみていて思うのですが、教育の中身が自分たちのころとあまり変わっていない気がするのです。“正解を教える”“正解を覚える”という事は徹底的にやるのですが、自ら考えるという訓練が少ないような気がします。もちろん、初等教育では、その後の基礎となる言語や数学などをきちんと覚える必要があります。しかし、高等教育でも“覚える”ことに重点が置かれていて、ディベートなど、考えて意見をぶつけるという“訓練”が足りないと思います。
前出のKeith Carter氏は、シンガポール国立大学で授業を持っているのですが、学生にQlikViewを与え(学術的な使用に提供するアカデミーパックを無償提供)、学生達に考えさせる授業を実施しています。学生は自らテーマを設定し、たとえばスターバックスやマクドナルドに足を運んで、「研究のためにデータを下さい」と交渉するそうです。そうすると、2、3年前の少々古いデータですが、企業は提供してくれるそうで、半年後に学生が発表する分析結果には、企業の分析スタッフも気づかなかった示唆が含まれることもあるそうです。
―――最後に、ビッグデータマガジンの読者の皆さまむけにメッセージをいただけますか。
安部知雄さま(マーケティング本部 本部長)
ビッグデータは宝の山だと思います。ただし“宝の山”とは、宝が山のようになっているのではなく、宝が含まれている「ガレキの山」というイメージが正しいのです。どこに宝があるのか分からないからこそ、その宝を試行錯誤しながら探すために、QlikViewを活用いただきたいと思っています。
QlikViewは、試行錯誤するために最適なツールです。ぜひとも一度、さわってみて下さい。
小澤宏さま(ソリューション・コンサルティング本部 本部長)
ビッグデータというキーワードに惑わされないようにして欲しいと思っています。ビッグデータとは何か?というような定義を調べたり、暗記したりするだけでは意味がないのです。ビッグデータというキーワードをキッカケに、“データの活用”に興味を持っていただきたいです。
そもそもデータは以前からどこにでもあったのですが、 “データを溜めること”のみでよかったかのように感じています。しかし、それでは意味がありません。”データは経営に活用してこそナンボ“というものです。
エクセルに入っているデータでもいいので、これを機会に“データを見て”“何かを考えて”“なんらかの判断をする”ということをためして欲しいです。
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<前編>100ヵ国以上30,000社以上の導入実績、顧客満足度96%BIプラットフォーム「QlikView」クリックテック・ジャパン株式会社さまインタビュー
【インタビュアー】
杉浦 治(すぎうら おさむ)
株式会社 AppGT 取締役
株式会社 学びラボ 代表取締役
一般財団法人ネットショップ能力認定機構 理事
2002年デジタルハリウッド株式会社取締役に就任。IT業界における経営スペシャリスト育成やネット事業者向け研修開発を行う。
2010年4月「ネットショップ能力認定機構」設立。ネットショップ運営能力を測る「ネットショップ検定」を主催。
2013年7月、プレステージ・インターナショナル(東証一部)より出資を受けて(株)AppGTを設立。コンタクトセンターに蓄積された顧客コミュニ ケーションデータを分析し、今後の主要な顧客接点となるスマートフォンの活用において、様々な研究や企画提案を行っている。
~ビッグデータ活用のための「やさしい業界解説」シリーズ ~
【エディター】
土本 寛子(つちもと ひろこ)
ビッグデータマガジン管理者
【経歴】モノづくりに興味を抱き、製造業向けシステム開発プログラマー、SE、業務およびシステム導入コンサルタントとして従事。また、ナレッジマネジメントやWebデザイン開発などにも関与。
~株式会社チェンジでは、「ビッグデータ無料勉強会」のほか、「データサイエンティスト養成コース(5日間)」を開催しております。お気軽にお問い合わせください。~