2017/07/06

マーケターがデータ分析だけに陥らず、よりイノベーティブなマーケティング業務に集中できるようにならないか。
今回は、そんな想いから生まれた今注目のマーケティングPDCA支援ツール「XICA magellan」(マゼラン)について、プロダクトオーナーである株式会社サイカの岩澤様にお話を伺いました。
―はじめにマゼランの概要と特徴を教えていただけますか?
マゼランは、マーケティング施策に関わるあらゆるデータを統合し、ストーリーとして全体を可視化することができる、マーケターのためのPDCA支援ツールです。
マゼランには、「全体最適」と「高速PDCA」という2つのコンセプトがあります。全体最適とは、具体的にはPC、スマートフォン、あるいはオフライン、オンラインといったカテゴリー毎に広告効果が分断されてしまっている状態から、全体の流れをつなげて見える化することで、適切な判断を行えるようにすることです。
本来であれば、成果につながる要因はカテゴリーを超えて複雑に絡み合っているはずですが、それら全体を統合し可視化することは簡単ではありません。結果として、“部分最適”が進んでしまいます。例えば、CPA[1]はマーケティングにおいて重要視されている指標ですが、CPAだけを追いかけていては資源は枯渇してしまいます。そこで、オンとオフの統合、さらに競合のプロモーション動向までも統合して見ることができる点が、マゼランが実現する全体最適です。
また、得られた分析結果も業務に活かさなければ意味がありません。マゼランは、業務に自然に落とし込むことを念頭に、高速にPDCAを回せるよう設計されています。“高速”を実現するための仕組みが「データ自動連携」です。広告施策や成果データ、APIにより連携された外部データ(Yahoo、google、Facebook、天気、競合のプロモーションデータ、TVCMデータ、等)に至るまで、あらゆるデータを自動で連携します。さらに、連携した外部データは自動で更新されていきます。更新に連動してアウトプットとしてのレポートも変化しますので、常に最新の状況を反映した広告施策、および予算配分をリアルタイムで把握することができます。
―なるほど、マゼランの開発はどのようなきっかけから始まったのでしょうか?
弊社は、adelie[2]を提供する過程で約500人のマーケターの皆さまから現場の声をきいてきました。その中で多く寄せられたのが、「広告施策の統合的な評価ができない」、「分析が実践に活かされない」という2つの課題でした。マゼランは、その2つの課題を解決し、皆さまにマーケターが“本来やるべきこと”に集中してほしいという想いから生まれました。
「広告施策の統合的な評価ができない」という点は、例えばマーケティングではCPAが最も重要視される指標の一つですが、CPAだけ見ていればよいのかというと、必ずしもそうではありません。その他の施策がもたらす“アシスト効果”も必ず存在し、それらを可視化することで初めて、成果までのカスタマージャーニーを正しく描くことができます。
統合的な評価を行うためには、Cookieベースの分析では実現できません。そこで、マゼランではCookieを捨て、パス解析という統計技術を採用しています。簡単に言うと、各施策の時系列での指標の変化を“波”として表し、それとコンバージョンの“波”とを重ね合わせることで、過去の履歴と照らし合わせてどの施策がより影響を与えているのか、統計的にあぶり出すことができるようになっています。この技術により、広告施策の統合的な評価が可能となります。
「分析が実践に活かされない」という点に関しては、先ほどお話した「自動連携」によって、リアルタイムでの施策効果を把握することができ、さらに施策間の関係性から最適な予算配分も自動算出されるため、そこからアクションにつなげていくことができます。また、策定した予算配分の日々の進捗(どの施策がどれだけ打たれていて、効果がどれだけ出ているか)もダッシュボードで確認できるようになっています。
以上のような機能により、“分析のための分析”や“分析のためのデータ収集”といった分析の手前の段階が大きく省けることになります。データクレンジングができる専門人材の不足は以前から指摘されていますが、マゼランなら「24時間働くデータサイエンティスト」として、人間では嫌がるような愚直な分析もこなしていくことができます。
また、マゼランを導入することで、マゼランが日々の業務にインプットされ運用が回り始めることが重要だと考えていますので、ユーザー様向けには定着化のご支援も行っています。2016年内であればスタート前の導入支援は無償でさせていただいております。
―マーケターにとっては煩わしい業務が減り、大きな武器になりそうですね。岩澤様自身もこれまでのキャリアでマーケティング業務をされてきたそうですが、ご自身の経験がマゼランにも活かされているのでしょうか?
はい、私は新卒で大手SIerに入社し、その後WEB製作会社のディレクターを経て、BtoCの事業会社にてCtoC事業の責任者をしていました。SSPやアクセス解析サービスもプロダクトオーナーとして携わり、ユーザー様から「こんな数値が見たい」とリクエストをいただいたものをまとめてご提供することもしていました。ただ、実際のところ出した数値がユーザー様に見られているかというと、残念ながら見られていないことも多くありました。それはなぜかと考えますと、ユーザー様はなにも“数値”が見たい訳ではなく、例えばアクセス解析であれば、「実際に訪れた人がどんな人なのか」「そういう人を増やすにはどんなアクションをすればよいか」ということを知りたがっていたからです。そのリクエストに解を出すのはなかなか難しいのですが、“統計”ならそれが実現できるのではと、以前から思っていました。
さらに、私自身もマーケティング業務を行っているときに、“データに溺れた”経験が何度かありました。つまり、一つ一つの数値が本当に正しいのか、CPAは上がったがそれは“たまたま”ではないのか、ということを考え始めると、もはやどの数値を信用してよいのか判断がつかなくなってしまうことがあったのです。
そこで、統計を使って、本当に正しく確からしい数値のみをふるいにかけ、かつストーリーとして表現したいと思うようになりました。プロモーションと施策、サイト後のLTV[3]まで含めて一気通貫で把握したうえで統合的に施策を打っていかないと、意味がないからです。
そういう意味では、マゼランは、まさに私がこれまでのキャリアの中で持ってきた課題感と、多くのマーケターの方々の声が反映されたプロダクトでもあります。
―なるほど、まさにご自身の経験が生きたプロダクトなのですね。最後に、マーケティングやデータ利活用に携わる読者の方々にメッセージをお願いいたします。
私の経験からも、マーケティングの現場は非常に忙しいと思っています。ただ数字を追いかけていればよい訳ではなく、その他の業務も多い。そんな中で、いかに確かなものを抽出し、それをアクションにつなげていくかが重要になってくると思っています。その部分を、統計の力を使ってマゼランがサポートできると信じています。
ただ、マゼランは答えを出すツールではありません。あくまでも、考えてアクションするのはマーケターの皆さまの役割であり、マゼランは、マーケターの皆さまが「考えてアクションする」というPDCAを回すことに集中できるよう、データから示唆をお届けする部分を担っています。
マーケティングの仕事は、自分が描いた市場を開拓していくことができる非常にイノベーティブなものだと思っています。一人でも多くの方々がその醍醐味を味わえるよう、マゼランがパートナーとして一緒に歩んでいけたらと思っています。
XICA magellan
株式会社サイカ
「すべてのデータに示唆を届ける」をビジョンに、統計学とコンサルティングの実績を活かしたニーズ特化型の分析アプリケーションを提供
以上