2017/07/06

はじめまして、ビッグデータマガジン「やさしい業界解説」シリーズ担当の杉浦です。
ビッグデータを分析しても、実際に行動をおこして活かさなければ意味がないですよね。そこで本シリーズでは、各業界がどのようにビッグデータ分析をビジネスに役立てようとしているか?をテーマに、様々な業界のお話をさせていただきます。今回は通信販売業界です。
【ニュース】通信販売業界大手が、ビッグデータ分析を開始!?
2013年7月9日に「通信販売業界大手ベルメゾンの千趣会が、ビッグデータ分析プラットフォームを導入!」というニュースが流れていました。
通販って、購入履歴を分析してハガキで個別のダイレクトメールを出したり、会員による購入傾向を分析して商品開発をしたり、昔からデータ分析していたのでは?と、今さらこんなニュースが出ることを不思議に思う読者もいると思います。
しかし、最近の千趣会の活動をみると、このニュースの意味がすこし分かってきます。最近のニュースリリースには、
- ベルメゾンネット・・・「デジタルカタログアプリ」登場!
- Android版アプリに音声検索を導入。
- イオンモールに「暮らす服 大阪ドームシティ店」オープン!
といった発表がありました。
また中期経営計画では、「ベルメゾンネットと、それ以外のネット事業との連携を強化」と言っています。
多様なデータを分析して、顧客像を明確にしたい千趣会
会員データや販売実績だけでなく、ホームページの閲覧データやアプリの使用データ、Android版アプリでの音声データ、さらに実店舗でのポイント利用データなども収集しているわけで、これらを分析して経営に活かそうとしていることが想像できます。
通信販売市場は順調に拡大! しかし課題は○○○対応
※ ○○○の答えは、↓
通信販売業界全体の動向は、公益財団法人 日本通信販売協会(通称「JADMA=ジャドマ」)のホームページで知ることが出来ます。(http://www.jadma.org/)通販市場は景気の変動に影響されることなく、順調に拡大してきたことが分かります。
また、JADMAが発表した「第5回インターネット通販利用者実態調査2012」によると、通販業界の市場拡大はインターネット経由の販売に後押しされていて、特にスマホ対応(※○○○の答え)が重点課題になっているようです。
通販業界がビッグデータ分析を活用する目的とは?
これまでの通販業界は、いかに安く適切なターゲットにカタログを届けるか? そのターゲットが買いたくなるような品揃えができているか? ターゲットが頻繁に買いたくなる販促イベントはどうするか?に集中すれば良かったのです。
しかし今後は、一人の顧客について、自社サイト/自社アプリ/カタログ/店頭/ソーシャルメディアなどの、どこでどのように情報を入手し、様々な購入方法の、どこでどのように購入をし、どこで商品を受け取り、どこからどのような感想をフィードバックし、どこでどのように口コミを拡散させるか? のすべてを分析し、顧客の次の行動を予測し、その顧客にリアルタイムでお勧めをしなければならないのです。
「ビッグデータ分析」とは、分析対象となるデータが大量というだけでなく、データの多様性を受け入れ、リアルタイムに分析することを意味します。
ですから、多様なデータ入手元、多様なデータ形式、それらを瞬時に分析する体制が必要になってきた通信販売業界も、ビッグデータ分析を使い始めたのでしょう。
杉浦 治(すぎうら・おさむ)
株式会社 AppGT 取締役
株式会社 学びラボ 代表取締役
一般財団法人ネットショップ能力認定機構 理事
2002年デジタルハリウッド株式会社取締役に就任。IT業界における経営スペシャリスト育成やネット事業者向け研修開発を行う。
2010年4月「ネットショップ能力認定機構」設立。ネットショップ運営能力を測る「ネットショップ検定」を主催。
2013年7月、プレステージ・インターナショナル(東証一部)より出資を受けて(株)AppGTを設立。コンタクトセンターに蓄積された顧客コミュニケーションデータを分析し、今後の主要な顧客接点となるスマートフォンの活用において、様々な研究や企画提案を行っている。