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マーケティングオートメーションとは。MAが自動化するものはなにか?

time 2015/05/19

マーケティングオートメーションとは。MAが自動化するものはなにか?

2BC株式会社 代表取締役
尾花 淳

マーケティングオートメーションとは。MAが自動化するものはなにか?“マーケティングオートメーション” というITシステム、いや、言葉がといったほうが正確かもしれません、がにわかに注目を集めています。Googleでの検索数も、昨年の夏まで皆無だったのが、夏以降急激な右肩上がりになっています。そしておそらく、この記事の読者のみなさんもそんなトレンド作りに貢献しているひとりなのでしょう。

どうしてこんなに注目されているかといえば、ひとつはアメリカやヨーロッパのマーケティングオートメーション専業であった企業がオラクルやマイクロソフトといった大手IT企業に買収され、それら企業が市場づくりに専念しているからといえます。
一方で、これまでの延長線上での営業やマーケティング、つまり、「売り方」のカイゼンでは立ち行かなくなった企業側のニーズが膨らんでいることも大きな要因でしょう。マーケティングオートメーションという言葉は、その響きから我々に大きな期待を抱かせてくれます。
そこで本稿は、そんな“夢”、最適なマーケティング施策が”自動的に実行”できる、あるいは、マーケティング施策が”自動的に最適化”されることを、現実の世界において実現可能な範囲として正しく認識していただくきっかけになればと思い執筆しました。

 

世の中にオートメーションと名のつくITシステムは何もマーケティングだけではありません(むしろ、マーケティングはマイナーな存在でしょう)。古くは、OA=オフィスオートメーション、FA=ファクトリーオートメーション、そして、SFA=セールスフォースオートメーションなどというものがあります。これらを活用することで、OAであれば会社での事務作業、FAであれば製造工程、SFAであれば営業活動の、それぞれ一部が“自動化”されます。OAがなかった時代、資料を複数部そろえるためには、手書きで複製しなければならなかったことがOAによって印刷あるいはコピーをすればすむようになりました。手書きで長い文章や資料を作成すると修正が大変でしたが、ワープロを使うことで編集や修正の工数は大幅に削減されました。
しかし、OAが資料作成を自動化するわけではありませんし、もちろん事務処理のすべてを自動化するはずもありません。FAによって、製造工程の一部は自動化されましたが、工場全体が自動化されたかと言えば無論そんなことはなく、何を作るのか、どうやって作るのかといった部分について人間が考えて設計してはじめて、製造装置が自動的に製造を行うことができるわけです。SFAにいたっては、このITシステムを導入すると営業担当者がロボットのように自動的に理想通りの行動をとるように…なんてはずはないのです。あくまでも、営業活動をトラックすることで、次の打ち手について適確なガイドができるような状態をシステムの利用を通じて自動的に生みだすということが限界なのです。
とはいえ、それぞれのシステムがすべてを自動化されるわけではないからといって、当然「使えない」わけではなく、テクノロジーの進化によって登場し発展しているこれらのオートメーションシステムが果たしている役割は大きいことは紛れもない事実です。

 

そして、マーケティングオートメーション。マーケティングの工程の何を自動化するのでしょうか。
マーケティングの基本である4P(今の時代は4Cだろう的な反論はさておき…)、プロダクト・プライス・プレイス・プロモーションの視点から整理すればマーケティングオートメーションが対象とするのはプロモーションの領域です。有効なプロモーションを実施するためには、どうすればよいのでしょうか。まず、自社の製品特性が、どんな人や企業の、どんな欲求や課題に対して、どんな価値を提供するのかを整理しておく必要があります。
また、市場における自社や自社製品の状態や立場も把握しておく必要があります。それらが揃ってはじめてマーケティング施策の目的や目標が設定され、効果的なプロモーションの計画が立案できるのです。・・・と、ここまでの工程は、実は、マーケティングオートメーションを使っていようがいまいがあまり関係なく、基本的には、人間が考えて考えて考えぬく工程です。実は、この後にようやくマーケティングオートメーションの出番がまわってきます。

 

マーケティングオートメーションは、人間が考えたコミュニケーションシナリオを、誰にも文句を言わず、淡々と、正確に実行する工程を担います。設定された通りに自動的に実行するのです。たとえば、Webサイトを訪れている相手がどのような人なのかを見極めるロジックを人間が考えて与えておけば、その相手に応じたコンテンツを表示します。人間が考えた「ある状態」と「あるコンテンツ」を指定しておけば、その状態にマッチする相手にそのコンテンツをメールで自動的に送信します。その内容が本当に相手にとって最適かどうか、効果的かどうかはマーケティングオートメーションの責任範疇ではなく、そこはそのロジックやプログラムを考えた人間側の責任なのです。
繰り返しになりますが、ここはきちんと理解しておいた方がよいでしょう。システムは、設定した通りにプログラムを実行して、その反応をトラックしてレポートするだけです。とはいえ、実は、この反応のトラックとレポートというのは大きなポイントで、人間は自分が考えた施策が良かったのか悪かったのかをレビューする環境を与えられるのです。確認して必要な修正を施すといったことを日々のルーチンワークとしてしまえば、改善の部分もある意味で”自動化”されるといえなくもありません。

 

道具は使いよう!――マーケティングオートメーションという道具を活用する際はこの言葉を肝に銘じておきましょう。なお、言わずもがなテクノロジーはどんどん進化しています。今日時点で人間がやるべき・やらなくてはならない、といったことも、その先どうなるかは、わからないということは認識しておいた方がよいでしょう。

もちろん、私は良い意味で期待をこめて待ちたいと思っています。

 

 


【執筆者情報】尾花 淳(おばな じゅん)

2BC株式会社 代表取締役 尾花 淳2BC株式会社www.2bc.in
代表取締役

BtoBに特化したインサイドセールスのアウトソーシング会社にてコンサルティング部門を率いた後、インバウンドマーケティング専業エージェンシーの起ち上げに参画。
2013年5月に独立し、2014年8月に社名変更して現職。
BtoBマーケティング全体像をとらえ、売上につなげるプロセスとコミュニケーションの設計に強い。

 

 

 

 

    

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