ビッグデータマガジン

「データは神様症候群」日経情報ストラテジー誌「ビッグデータ活用、4つの罠」連載記事より

time 2014/05/08

「データは神様症候群」日経情報ストラテジー誌「ビッグデータ活用、4つの罠」連載記事より

ビッグデータマガジンの高橋です。
日経情報ストラテジー誌の連載2回目の記事が掲載されました。

日経情報ストラテジー連載 ビッグデータ活用 4つの罠

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日経情報ストラテジー 2014年6月号
(http://ec.nikkeibp.co.jp/item/backno/IS0266.html)

ビッグデータ活用、4つの罠 第2回
データは神様症候群 現場を理解し多角的に見る(129p)

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以下、限られた誌面で書ききれなかった内容です。日経情報ストラテジー誌と合わせて、ご一読ください。

 

■第2回「データは神様症候群」について

<データが示すものとは>

ビッグデータでは、サンプルデータでなく全データを扱うため、すべての出来事を捉えられるということができます。実際に、今までサンプルでは見落としていた事象を、全データを記録し分析することによって気づくことができた、という事例も数多くあります。これぞ「データが語る」という状態です。

一方で、データは“所詮”データでしかないということを忘れてはいけません。データから現場で起きているすべての出来事を復元できるかというと、必ずしもそうではないからです。記事の中で書いたとおり、「データはある出来事の“写像”」、すなわちひとつの側面からみた結果だということです。

 

<データに違う意味を与えてしまう>

例えば、ある顧客データベースを見ると、名寄せがうまく行かず同一人物の引っ越し前後の情報が別顧客として登録されているという自体が発生していることがしばしばあります。このデータをそのまま分析すると、当然ですが「ある傾向の人が極端に多い」という示唆につながってしまいかねません。

同様に、POSで入力された顧客の年代データがどこまで正確かは入力者に依存しますし、最近は属性データの精度を高めるために、ポイントカードや電子マネーと連携することもありますが、これも初期入力データが自己申告である以上、必ずしも正しい保証はないのです。

また、データ欠損や人的なデータ投入のミスが少ないと評判の“センサーデータ”でさえ、センサーが外れてしまったり、電池がなくなったりするということも起こりえます。

正しくないデータは本来「データが正しくない」という出来事を示すのであり、そこに正しい意味を無理やり見いだそうとする危険性こそが、「データは神様」症候群なのです。

 

<現場イメージがもたらすリアリティ>

データに語らせる、データとコミュニケーションができるようになるには、そのデータが発生する現場をしっかりイメージできている事が重要です。昔から言われている「三現(現場・現物・現実)主義」です。現場に行って現物を手に取り現実を直視することで、データが語るストーリーをよりリアルに近づけてくれます。

 

現場のリアリティということでいえば、この1、2年盛り上がっている将棋の電王戦という、プロ棋士とコンピュータ将棋の戦いがあります。プロ棋士と実際に戦わせるということは、まさに開発者からすると、現場を見るという行為になります。そこで間違っている“何か”に気づけば、またプログラムを作り替えるという作業を行い、強くなっていくのでしょう。

 

<データの種類とさまざまな切り口がもたらすリアリティ>

そして、データがある出来事の写像なら、その写像をたくさん持つこともリアルに近づけるのに重要です。

たくさんのデータを集め、それらのデータをさまざまな切り口でみるためには、BIツールの導入を推奨します。既にこれまでにも、ビッグデータマガジンではさまざまなBIツールを紹介してきましたので参考にしていただくとよいでしょう。

個人的には、クロス集計のさまざまな切り口の中でも、時間軸を動かしながら分析する手法が最近のブームになっています。

例えば、Microsoft Excel2013があれば、タイムラインスライサーで実現可能です。クロス集計の1軸を時間軸にすれば、これだけでも今まで面倒だった時間軸を変える操作が簡単にでき、示唆を導き出しやすくなります。

また、クロス集計の2軸とは別に時間軸を設定したい場合は、Tableau Softwareのページ機能が有効です。2つの軸でのデータ分布が、時間によってどう変化していくかを見ると、特定の日時における異変や変化にも簡単に気づくことができるでしょう。

費用対効果うんぬんでBIツールの導入決定までの時間がかかってしまうことも多いのですが、とにかくPOC(Proof Of Concept:実現可能性検証)を進めてみてください。おのずとその効果は見えてくるでしょう。

 

次回の連載では、データ分析を導入した「組織」が陥る症状について触れます。ぜひ、日経情報ストラテジー誌の次号も御覧ください。

 


<プロフィール>

ビッグデータマガジン高橋範光高橋 範光(たかはしのりみつ)

株式会社チェンジ 取締役
ビッグデータマガジン 編集長

大学・大学院で、経営工学や集団意思決定支援を専攻。

卒業後、大手外資系コンサルティングファームに入社。業務システム開発、Webシステム開発、マーケティングROI分析など多方面に渡るITコンサルティングに従事。

現在は、株式会社チェンジの取締役としてIT企業の人材育成に携わりつつ、データサイエンティスト育成事業や、データ解析コンサルティングを手掛ける。

    

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