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IoT活用のコツ IoTを企画するためのフレームワーク~新シリーズ「IoT活用企画」第2回~

time 2015/08/20

IoT活用のコツ IoTを企画するためのフレームワーク~新シリーズ「IoT活用企画」第2回~

ビッグデータマガジン杉浦です。
「IoT活用企画」シリーズ第一回では、「IoTらしさ」について考えました。今回は実際に、IoTを企画するためのフレームワークをご紹介します。

■はじめに

まず、よく聞かれるIoT活用事例をみてみましょう。

マーケティング領域では、これまで把握が難しかった人間のリアルな行動ログの収集が注目されています。
これまでは「日報」に頼っていた営業行動や、「アンケート調査」に頼っていた消費者の購買行動などが、センサーによってデータとして収集されようとしています。つまり、観察によるサンプリング調査が、ビデオ解析による全データ分析に変化しようとしています。また、飲食店舗内の従業員の行動データも、小さな機器を身につけることで収集されています。
設備機械などには昔からセンサーが付いていましたが、最近はインターネット経由でリアルタイムにデータがアップロードされ、リアルタイムで処理されています。まるでベテラン技師が、機械の動きを24時間365日休まず見守っているような感じになります。
設備の稼働状況はいままでもデータが収集されていましたが、膨大なデータ量を格納することとリアルタイム処理に莫大なコストがかかったため、ほとんどのデータは捨てられていました。しかしいまは、全部データを保存して、その場で分析しています。
エネルギー効率改善や、社会の安全確保でもIoT活用が進みそうです。政府、行政が戦略的に予算を投入しているだけでなく、民間企業も投資しています。代表例としてGoogleのNESTなどがあげられます。

それでは、どうやってIoT活用を企画したら良いのか?をお話ししましょう。

 

■ IoTの活用企画を進めるためのフレームワーク

 

私が提言するフレームワークのひとつは、下記の通りです。これは、企画の進め方を示しています。

IoTを企画するためのフレームワーク

IoT活用を企画するフレームワーク
(クリックにて拡大表示されます)

 第1に…
 「今すでにあるモノ」に「センサー」を取り付けます。ポイントは「今すでにあるモノ」という点です。人間は全く新しいモノを拒絶する傾向が強く、センサーを付ける際には今すでにあるモノに付けた方が受け入れやすくなります。

 

第2に…
 そのセンサー付きのモノに、「インターネットらしさ」と「ビッグデータらしさ」を加えます。「インターネットらしさ」と「ビッグデータらしさ」については、第一部を参照ください。
IoT活用のコツ「IoTらしさ」とは?~新シリーズ「IoT活用企画」第1回~(https://bdm.dga.co.jp/?p=3002

 

第3に…
 その「モノ」が稼働する、目的を設定します。

この、1〜3を、行ったり来たりしながら、ブラッシュアップし、企画をまとめあげます。

ところで3つめの「目的」の設定方法ですが、大きくわけて「ヒトの補助」と「ヒトの代替」が挙げられます。IoT活用はヒトの活動を劇的に効率化する(イノベートする)わけですから、企画する際には、今のヒトの活動を洗い出して検討することが基本になります。

IoTを企画するためのフレームワーク

IoT活用の目的
(クリックにて拡大表示されます)

 

そして、現在のヒトの活動だけではなく、効率が悪すぎて、それまでヒトが手を付けなかったことや、危険すぎて手を付けられなかったことも対象になります。

例えば、防犯ビデオの内容を全てリアルタイムチェックするためには、何十万人もの監視員が必要だったため、いままでは事後の事実確認のためにしか映像が使えませんでした。しかし、ビッグデータ分析を活用すれば、リアルタイムに監視&アラートが可能というようなります。また、人が立ち入ることが出来ない危険な状態の災害地に、ドローンで食料を運ぶというようなことも、いまで出来ていなかったけれどもIoT活用の目的対象となります。

 

■人の活動をモノの機能に置き換えるフレームワーク

もうひとつのフレームワーク、ヒトの活動をモノの機能に置き換える(代替する、補助する)考え方もご紹介します。

IoTを企画するためのフレームワーク

IoT活用を企画するフレームワーク
インプット→プロセス→アウトプットで考える
(クリックにて拡大表示されます)

ヒトの活動は上段です。これを、下段の、モノの機能で置き換えるのです。ひとつめのフレームワークを使って検討を進める際に、ここで示した内容を自身に問いかけながらアイディアを出したり、考えを深めたりしていきます。

 

■最後に

理解を深めるため、皆さん自身がご存じの事例をこのフレームワークで確認してみて下さい。たとえば、下記の事例について、「センサーは何か?」「どんなモノにセンサーを付けているか?」「どうやってネットに接続し、他の、どんな情報(データ)と連携しているか?」「どんな分析手法を使っているか?」など、チェックしてみて下さい。

IoTを企画するためのフレームワーク

IoT企画のための思考トレーニング
(クリックにて拡大表示されます)

ヒトがやっていたとすると、どんな作業になるのでしょうか。ヒトの能力(匠の能力)でこなしていたことを、どんなアルゴリズムで処理し、どのようにアウトプットしているのでしょうね。

私が提言するフレームワークは以上です。ぜひ、お試し下さい。


【関連記事】

・「モノのインターネットとは?」 〜IoTの動向と課題〜
前編
https://bdm.dga.co.jp/?p=1677

後編
https://bdm.dga.co.jp/?p=1790

・簡単にIoTを実践するには ~エンジニアでなくても知っておくべきIoTのサーバーサイド~
https://bdm.dga.co.jp/?p=2694


【執筆者情報】

ビッグデータマガジン杉浦杉浦 治(すぎうらおさむ)

株式会社 AppGT 取締役
株式会社 学びラボ 代表取締役
一般財団法人ネットショップ能力認定機構 理事

2002年デジタルハリウッド株式会社取締役に就任。IT業界における経営スペシャリスト育成やネット事業者向け研修開発を行う。

2010年4月「ネットショップ能力認定機構」設立。ネットショップ運営能力を測る「ネットショップ検定」を主催。
2013年7月、プレステージ・インターナショナル(東証一部)より出資を受けて(株)AppGTを設立。コンタクトセンターに蓄積された顧客コミュニ ケーションデータを分析し、今後の主要な顧客接点となるスマートフォンの活用において、様々な研究や企画提案を行っている。

 

    

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