2017/07/06
こんにちは、杉浦です。
前回のコラムは、昨年8月の『「モノのインターネットとは?」 〜IoTの動向と課題〜 後編』https://bdm.dga.co.jp/?p=1790でした。
今回は、“実践する”ことに焦点をあてて、IoTについて解説いたします。
■はじめに
“IoT”というキーワードは、昨年後半から急速にビジネスの企画現場に広がりました。エンジニアでなくても、このキーワードを意識するビジネスパーソンが増えてきたようです。
しかし多くの方は、発表されるガジェットの目新しさを楽しみ、実証実験のような活用事例を知ることにとどまっているように感じます。
どんなテーマでも同じですが、一歩すすめて実践してみると見えてくる勘所があるものです。今回は、IoTを利用してサービスを構築する際に必須となるサーバー設備についてまとめてみました。
■「IoTでサービスの実用化をする」とは?
当然ながら、IoT機器のみではサービスを提供することができません。それ以外に、インターネットへ接続する役割を担う機器や、サーバー設備等が必要になります。
IoT機器の構成要素ですが、“センサー”に加え、一時的にデータを保管するためのメモリーや、Bluetoothなどの通信モジュール、これらをコントロールする組み込み型のOS、付属するものとしてIoT機器を動かすソフトウエア開発のためのプログラム(SDK)などが考えられます。
インターネットに接続しIoT機器とサーバーのハブとなる機器は、スマートフォンやタブレットなどのモバイル通信機器が一般的ですが、Google傘下のNESTのようなスマートホーム機器も台頭しつつあります。IoTガジェットから直接Wi-Fiルーターを経由しインターネットに接続するものもでてきています。
そして、IoT機器から吸い上げられたデータを蓄積したり、分析したり、さらにはIoT機器を外部操作で動かしたりするために、インターネット経由でサーバーにつながっていることがほとんどです。
■IoT用クラウドの登場
企業がWebサービスなどを構築する際も、サーバーは独自に構築するのではなくクラウドによるサービスを活用することが増えており、IoTのバックエンドを支えるサーバーもクラウド化が進んでいます。
そのような中で、IoT向けにも様々なバックエンドサービスが登場しつつあるようです。最近では、サーバーサイドのエンジニアを全く必要としないタイプのBaaS(バックエンド・アズ・ア・サービス)も登場しています。
IoT用BaaSにみられる主な機能
- ログイン
- IoT機器自体にIDとパスワードを設定し、機器がクラウドに接続した際にログインさせ、クラウド側は個体を認識することができます。
- データ管理
- 決められたスキーマでデータを格納するだけではなく、kvsによって自由にキーとバリューを設計したり、データを分類して格納したりすることができます。
- 分析
- IoT機器の稼働状況など、サーバーへのアクセス情報を分析することができます。
- プッシュ通知
- ルールを設定して、サーバー側からIoT機器にプッシュ通知をすることができます。また、スマートフォンのアプリなどからインターネットを経由してIoT機器に指示をだすことも可能です。
- サーバー機能のカスタマイズ
- エンジニアがいれば、自由にサーバーサイドをカスタマイズして構築できる環境を提供します。
■主なIoT用クラウド
主なIoT向けのクラウドサービスをご紹介します。
- Kii Cloud(http://jp-cloud.kii.com/index.html)
Kii Cloud
モバイル専用のBaaSを提供しているKii(キー)株式会社の最高技術責任者である石塚氏が、2015年1月のウエアラブルEXPOの講演にてIoT向けにフォーカスした展開を発表しています。
また、大日本印刷と共同で「Device Backend by Kii」というサービスを2015年2月からスタートしています。 http://jp.kii.com/20150114.pdf
- Thing Worx(http://www.thingworx.com/)
ThingWorks
2009年に創業したThingWorx(2013年にPTCにより買収)は、調査会社のガートナーから2011年に「Cool Vendor」に選ばれるなど、IoTプラットフォーマーとしての地位を固めています。多くのパートナーとの協業でビジネスを進めているようで、日本では最近NTTドコモや日本システムウエアと提携しています。
※ PTC(http://ja.ptc.com/)は1985年創業、製造業をクライアントとするITサービス企業
- Axeda( http://www.axeda.com/)
Axeda
前出のPTCは、2014年8月にAxedaも買収しています。Axedaは2013年12月に日立ハイテクノロジーズと戦略的提携契約を結んで日本市場に参入しました。2000年に創業したAxeda社は、医療、輸送、金融、製造などの産業分野向けに、M2Mと呼ばれる機械同士のネットワーク構築で成長してきた企業です。
- mbed IoT Device Platform(http://www.arm.com/ja/products/internet-of-things-solutions/mbed-IoT-device-platform.php)
mbed IoT Device Platform
2014年10月にプロセッサーメーカーのARMが発表したIoTプラットフォーム「mbed IoT Device Platform」は、IoT機器用OSの“mbed OS”、アプリケーション開発ツールの“mbed tools”、そしてIoT用クラウドの“mbed Device Server”によって構成されています。そして、IoT開発パッケージの中にIoT用のクラウドが含まれています。
- IBM Bluemix(https://www.ibm.com/developerworks/jp/bluemix/)
IBM Bluemix
IBMが提供するクラウド型のアプリケーション開発プラットフォーム「Bluemix」にもIoT用クラウドのメニューがあります。“Internet of Things Foundation”にデバイスを登録するとIBMの様々なクラウド環境が使えるようです。
■まとめ
IoTの周辺では、サービス開発を簡便化し、効率化する様々なモジュールが公開され、使いやすく、繋ぎやすいオープンなポリシーのサービスが多いようです。
IoTの実践を難しく考えずに、“ありもののツール”を活用し、時間をかけずに試作サービスを構築してみるという考え方に移行することが重要ですね。
読者の皆さん、特にエンジニアでない方も、IoTを利用したサービス企画の参考にし、実際に触ってみてください。
追加情報:
本記事は2015年2月執筆時点の情報です。
2015年3月26日にFacebookのF8カンファレンスにて、ParseがIoTのSDKを提供し、IoT向けのバックエンドになることを発表するなど、目まぐるしく動向は変化しております。
http://jp.techcrunch.com/2015/03/26/20150325everything-you-need-to-know-from-todays-facebook-f8-announcements/
今後も継続的に新たな情報を記事として掲載いたします。
【関連記事】
『〜IoTの動向と課題〜 前編』
https://bdm.dga.co.jp/?p=1677
『〜IoTの動向と課題〜 後編』
https://bdm.dga.co.jp/?p=1790
【執筆者情報】
杉浦 治(すぎうらおさむ)
株式会社 AppGT 取締役
株式会社 学びラボ 代表取締役
一般財団法人ネットショップ能力認定機構 理事
2002年デジタルハリウッド株式会社取締役に就任。IT業界における経営スペシャリスト育成やネット事業者向け研修開発を行う。
2010年4月「ネットショップ能力認定機構」設立。ネットショップ運営能力を測る「ネットショップ検定」を主催。
2013年7月、プレステージ・インターナショナル(東証一部)より出資を受けて(株)AppGTを設立。コンタクトセンターに蓄積された顧客コミュニ ケーションデータを分析し、今後の主要な顧客接点となるスマートフォンの活用において、様々な研究や企画提案を行っている。





