2017/07/06

2016年2月7日(日) 経済産業省と総務省が連携して取り組む「IoT推進ラボ」が、第1回IoT先進プロジェクト選考会議「IoT Lab Selection」を開催しました。これは、官民合同による資金支援や規制等に関する支援を行うために、IoTを活用した先進的プロジェクトを選定することを目的としたものです。
また、昨年12月15日から本年1月22日までオンラインで実施した第1回Big Data Analysis Contestの表彰式も併せて同日に開催されました。
会場となったベルサール新宿グランド コンファレンスセンターには、IoT推進ラボ設立総会同様、開始時間の13時15分から立ち見がでるほどの傍聴者が集まり、全15申請者(ソニー株式会社は、最終プレゼンを辞退)のプレゼンテーションが18時までの長時間にわたって行われました。

IoT Lab Selection 会場風景
プレゼンテーションは、発表と質疑応答を含め15分とされ、要点を絞ったプレゼンテーションに対して、序盤から選考会議の座長を務める冨山和彦氏を始め、支援委員会のメンバー、審査委員の方々から非常に厳しい質問や意見が飛び交う展開となりました。
最終プレゼンに残った15チームは、いずれも非常に優れたアイデアと実現性、またそれに加えてユーモアのあふれるプレゼンテーションで場内をわかせ、厳しい質問に対してもしっかりとした受け答えで、ほぼ退室者がいない中、4時間近くに渡るプレゼンテーションがすぎていきました。
質問の中には、プレゼンターに対するものではなく、事務局に対して「この規制緩和に対して実際に動けるのか?」という質問も上がり、所管省庁となる経済産業省が「規制撤廃、解消にむけてがんばる」と返答する展開もありました。
また、傍聴参加されていた福岡市の高島宗一郎市長も途中で発言され、「是非うちの市でやってほしい」と声があがるほど練られたプレゼンテーションが続き、また休憩時間や終了後も、活発なネットワーキングが行われました。
発表終了後、約1時間の休憩の間に審査委員による選考が行われ、19時から表彰式が行われました。
冒頭、林幹雄経済産業省大臣から、「ワクワクしながら会場にやってきた。大いなる挑戦に期待したい。」と挨拶があり、まずは、別途開催された「第1回ビッグデータ分析コンテンツ」の表彰が行われました。

林幹雄経済産業省大臣の挨拶
インバウンド部門、交通部門、地域部門とグランプリが発表され、総合部門のグランプリには東京大学修士1年の劉萌傑氏が輝きました。受賞後に、「研究室の先輩からの助言のおかげで、受賞できた。これからもデータ分析の分野で活躍していきたい。」とコメントされました。

第1回ビッグデータ分析コンテスト総合部門グランプリ劉萌傑氏
次に、IoT Lab Selectionの表彰に移り、最初に審査員特別賞としてエブリセンスジャパン株式会社の「IoT情報流通マーケットプラットフォーム エブリセンスサービス」が受賞。

審査員特別賞のエブリセンスジャパン株式会社
準グランプリは2社となり、株式会社ルートレック・ネットワークスの「農業に休日を ~Grow with IoT~と、株式会社abaの「必要な時に必要な介護、排泄検知シート Lifi」が受賞されました。

同じく準グランプリの株式会社aba
そして、グランプリには、株式会社Liquidの「訪日観光客の滞在快適性向上おもてなしプロジェクト」が受賞し、受賞後のコメントでは「生体認証を使った安心な社会を作っていきたい」と今後に向けた展望を述べられました。

グランプリを受賞した株式会社Liquid
最後に座長を務める株式会社経営共創基盤 代表取締役CEO 冨山和彦氏からの、「受賞者を発表したが、受賞そのものに意味があるわけではない。この取組自体を1回で終わらせるのではなく、今日を、未来に向けた長期的運動論にするためのスタートにしたい。今回の選考で良かった点は、多くの具体的な規制改革ネタが出てきたこと。今後に向けてという意味では、こんなもんで終わってはいけない。このプロジェクトは“世界を変える”のがゴール。日本を、世界を変える一つの起点にするような運動論にしていきたい。」との講評で選考会議が終わりました。

受賞者写真撮影の風景
今回は、「データエクスチェンジ」、「農業」、「介護」、「観光/インバウンド」の各分野で、IoT活用に関するソリューションが受賞することになりましたが、他にもワイヤレス電力送電や健康、医療などIoTの適用範囲が多方面に渡ることを象徴するように様々なソリューションに関するプレゼンテーションがあり、この会議を起点に世界を変えるサービスやソリューションが生まれることが期待されます。
また、特徴的であったことは、発表者の多くが資金調達というよりも規制緩和やパートナリングの支援などであったことであり、昨今のクラウドファンディングやベンチャーキャピタルなどによる資金調達の障壁の低さを象徴するものであった事が挙げられます。一方で国の支援ということでいうと、サービスの立ち上がる速度を増すための補助金などのスキームに関する提案がさらにあるとより良かったように感じられました。
そして、グランプリ、準グランプリに選ばれたプレゼンテーションでは、いずれもIoT単体でなく、取得したデータの解析技術や機械学習などにも積極的に取り組んでおり、センシングとアナリティクスの組合せによる高度なサービスの展開が期待され、実現に向けて動き始めていることが分かる会議となりました。
(高橋 範光)
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