2017/07/06

こんにちは。株式会社博報堂プロダクツの塚本と申します。本記事では統計解析を利活用した最適プロセス管理の在り方をご紹介いたします。
もくじ
【昨今のデジタル戦略の実情】
あらゆるデータを利活用して、統計アプローチでデジタル戦略(ビッグデータの利活用も、本記事においては❝デジタル戦略❞と表現する)を実践している企業が増えてきています。FinTech、Internet of Things(IoT)、人工知能(AI)などの新しいテクノロジーを使用したデジタル戦略が登場し、各企業はそれぞれの特色を理解し、戦略にどの手法を使うことが最適かを考える必要が出てきています。しかし、現実には、判断に苦しむビジネスユーザーも多いのではないでしょうか。
【マーケティング・プロセスは短期集中へ】
またマーケティング戦略は、顧客が求めるトレンド・情勢・市況など移り変わりの速いスピードへ先回りし、ついていかなくてはいけない状況の中、例えば6ヶ月/1年単位でのサイクルで策定したマーケティング戦略では顧客要望を満たすことができず、さらに短いサイクルで戦略の見直しを実践していかなければいけません。
【PDCAサイクルだけでは、顧客の要望に応えられない!】
例えばイベントドリブン型の顧客とのタッチポイント(例えていえばマーケティング・オートメーション)も短いサイクルで手法の見直しをかけて、アジャイル・マーケティング思考で常に価値の高いデータドリブン型の経営を求められます。
Plan(計画)→ Do(実行)→ Check(評価)→ Act(改善)を回し続けることで、常にデジタル戦略の精度向上を継続し、改良を加えていくことは、重要であり正しいのですが、根本的に統計アプローチを見直す・大きくトランスフォーメーションすることも重要になってきています。
PDCAは、品質管理手法(Quality Control)から派生した考え方で、7つ道具である散布図・ヒストグラム・クラスタリング・特性要因図・パレート・特性要因・管理戦を用いる考え方です。ただ、一般的に4つのプロセス(PDCA)を回し続けることが通常プロセス(広義な意味では間違ってはいません)と考える人が多く、7つの道具を意識している人は多くありません。
以下が、統計解析のコンタクトポリシーを設計し、その業務を最適化するプロセスの一例です。ここに記されている「ルールインダクション機能」が、PDCAでいうところのAct(改善)です。
こちらのプロセスを回し続けることも正しいマーケティング戦略なのですが、Act(改善)をどこまで早期に遂行するか・つまりアジャイル・マーケティングの考え方であれば、根本的なプロセスの見直しがデジタル戦略では必要となります。
【シックスシグマをご存じですか】
シックスシグマというアプローチがありますがご存知でしょうか? 一見するとPDCAに非常に似た考え方です。シグマというのは統計用語で一般的に「ばらつき」を意味します。散布図を作成して統計データの散らばりから最適プロセスを見出します。
シックスシグマは「MAIC」というフェーズでプロセス管理をします。
MAICとは
(Measure :M)測定
(Analyze :A)分析
(Improve :I)改善
(Control :C)管理
の4つのプロセスです。
PDCA同様にMAICを回し続けることで、最適な統計アプローチを導き出します。一見するとPDCAと非常に似通ったプロセスに感じる方も多いかもしれませんが、両パターンの違いを以下に一部記します。
ここでお伝えしたいのが、MAICはPDCAと違い最適化プロセスにより重きを置いたものであると考えられることです。
アジャイル・マーケティングを進める中で、デジタル戦略やアドテクノロジーに関しても時流に乗って迅速に意思決定するための統計プロセスを考えていかなければなりません。そのような中で、安易にPDCAという言葉を使うのではなく、本当にプロセス管理をしっかりし、デジタル戦略を考えていかなければならない時代が到来してきています。
マーケティング・オートメーションブームというと誤解を招くかもしれませんが、顧客とのコンタクトを最適に遂行するためには、高度な統計手法は勿論、今までの発想とは違うデジタル戦略を考える時期にきていると考えています。
プロセス最適化を回し続けるというのは正しいアジャイル・マーケティング・プロセスではありますが定着化は永遠の課題であり、最適化・改善・コントロールは終わりなきプロセスであるということをご理解いただければ良いかと感じております。
【総括】
最後になりますがデジタル・マーケティングといえども所詮はツール・方法論です。愚直にプロセス粒度を細かく見える化・定量化し分析・構造化したうえで統計解析・最適化で問題点、あるべき姿を見つけそこに手を打つことが、どの分野においても強力なアプローチになります。
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【執筆企業情報】
ダイレクトマーケティング事業本部
「データベースでプロモーションを科学する」をミッションとして顧客ベースのマーケティング戦略を実践いたしております。
【執筆者:略歴】
塚本幸一郎
シニアデータベースマーケティングディレクター
株式会社博報堂プロダクツ ダイレクトマーケティング事業本部
米クラウドCRM/SFAメーカー、米統計解析メーカー、米リスクマネジメントメーカーにて、データドリブンマーケティング、カスタマサクセスインテリジェンス、リスクマネジメント、EBM(Event Based Marketing)など数多くのテーマに沿った提案・導入に携わる。 その後、戦略コンサルティングファーム、ブティックファームにて最高解析責任者CAO兼Managing Partnerとして、数多くの業種へBPR、OPEX、ディープラーニング、外食産業向けIoTを利用した調達業務プロセス改革、マーチャンダイジング、CRM最適化など上流工程からデリバリーまで一気通貫で顧客課題・要件に携わる。統計学・線形計画法・シックスシグマ・金融工学に裏付けされたマーケティングモデル導入に関する多くの方法論を有する。 複数のビジネスコンサルティングファームにて戦略顧問・フェロー・戦略プラクティス統括責任者を経て、現在はデータベースマーケティング戦略コンサルティングに従事。