2017/07/06
ビッグデータ業界のキーパーソンにお話をうかがう「ビッグデータマガジン・インタビュー」。顧客企業の売り上げに直結させる「eマーケティングカンパニー」オプトのグループ会社で、データ分析関連のサービスを提供する、株式会社Consumer firstのユニットマネージャー兼データアナリスト、小澤真由子さまにお話をうかがいました。
株式会社Consumer firstは、ユーザー行動ログ分析プラットフォーム「C-Finder」をはじめ、データ分析業務の受託・レポーティングなど、ビッグデータの活用による “消費者起点のマーケティングサービス”を提供しています。
―――自己紹介をお願いします。
出身は北海道札幌市です。大学ではマーケティングを専攻して専門知識を身につけました。新卒で入社したのは通信機器メーカーで、製品開発の企画部門に配属され、マーケティング業務を担当していました。
“マーケティング”というと、宣伝広告や調査を思い浮かべられる方も多いと思いますが、“マーケティング”とは、顧客を理解し、顧客ニーズに合った製品やサービスを開発し、その製品やサービスをお届けする、一連の活動すべてを指します。社会人としての最初の5年は、社内に蓄積されたさまざまなデータを分析して製品開発に活かすという“マーケティング”業務をしていました。
その後、もう少し広範囲にデータを分析できる業務に携わりたいと思いまして、独立系のマーケティング専門会社に転職しました。大手広告代理店からの受託業務が多かったのですが、私自身はデータベースマーケティング部という部署で、リサーチデータや購買データ、Webアクセスログなど、さまざまなデータ分析を経験することができました。
2011年の震災は、多くの方にとって自分の人生というか、キャリアプランを考え直すキッカケになったのではないかと思うのですが、私自身もいろいろと考えるようになりました。
それまでは広告代理店が間に入って、クライアントのデータを預かって分析していましたが、このような環境ですとどうしても代理店にとって都合の良い分析結果に焦点を当てようとしてしまいがちです。そのような業務をしながら、震災後の大変な状況の中で日本の企業が世界で戦っていくためには、各社がデータ分析をベースとした意思決定ができる企業に変わってゆく必要があるのではないか? そのために、ユーザー企業自身が自分たちでデータを分析できる環境を広めるような仕事をしたいと思い始めたのです。
2011年の7月にOPTでデータ事業が始まったのですが、この事業のための採用を目にしてチャンスを感じました。2011年10月にOPTに入社し、その後、専門子会社として株式会社Consumer firstが設立され、出向をしました。
OPTでは2011年からさまざまな形でデータ系の事業を積極的に展開し始めていました。TSUTAYAを運営するCCC(カルチュア・コンビニエンス・クラブ)との合弁で株式会社Platform IDという会社を設立したのも、その現れです。また、OPTでは以前から広告主にアドプランという広告効果測定ツールを提供していて、広告からコンバージョンまでのWebアクセスデータが大量に集まっていました。
現在弊社で展開しているユーザー行動ログ分析プラットフォーム「C-Finder」も、広告主むけの付加価値として研究し始めたもので、広告が「枠」から「人」へと変わっていく中で、より顧客企業がユーザーへの理解を深め、マーケティングに活用できるサービスを作ろう、というコンセプトで始まりました。
当初は、C-Finderデータを使ってデータ分析及びレポーティングを行っていましたが、より多くの企業内でこのデータを簡単に使っていただくため、2011年12月に「C-Finder ASP」構想がスタートしました。ASPがリリースできたのが2013年4月なのですが、この間はアジャイル型の開発を続けており、開発しながら機能や仕様の変更をするなど試行錯誤を繰り返しました。
生データを、どう分析可能なデータに加工するか?非構造化データをどのように扱うか?大量のデータを扱いつつ、いかにレスポンスの良いUIに仕上げるか?など、多くのパターンを試行したのです。
―――御社のサービスについて、詳しく教えてください。
提供しているサービスは、大きく2つに分けられます。ひとつは「C-Finder」というツール提供、もうひとつは「C-Finder」など弊社保有のデータソースやお客様のデータをお預かりして行う分析・レポーティングサービスです。
<C-Finderについて>
世の中にはGoogleアナリティクスをはじめ、さまざまなアクセス解析ツールがありますが、自社のデータのみを分析してもユーザー行動の全体はみえないという課題が残ってしまいます。例えばある会社がWeb解析をしたとします。総アクセス数の増減や、サイト内でのユーザー行動は把握できるでしょう。
しかし、顧客視点で購買行動を考える際に、どのサイトに影響されて自社サイトに来たのか?自社サイトから離れたユーザーはどこに行ったのか?(競合に取られた?)といったことは想像するしか方法がありません。
「C-Finder」は多くのユーザーを集めてパネル化し、その行動ログから、外部サイトを含めたWebサイトでのユーザー行動を可視化するツールです。ですので、自社サイトのアクセスが増えたとき(減ったとき)に競合サイトで何が起こっているか?自社サイトに来たユーザーは、その前後でどんなサイトを閲覧しているか?といったことが、素早く簡単にチェックできます。
<レポーティングサービスについて>
C-Finderなどの分析ツールを、現在の人材リソースでは使いこなせない組織に対しても、弊社は価値提供をしたいと考えています。
顧客企業の個別の課題を解決するため、C-Finderのデータを中心に、時には企業が所有するさまざまなデータ(Webアクセスデータ、顧客データ、購買データなど)の統合・整備も行い、分析します。
特に、多様なデータを一つのデータウエアハウスに格納するところでは、弊社が試行錯誤を繰り返してきたノウハウが活かされます。顧客企業で扱いやすいようなデータ構造を設計したり、データの格納方法をアドバイスしたりします。さらに、弊社の「Customer Search Engine」というサービスは、分析結果を「ターゲットとすべき顧客の抽出」という形で施策に直結させることができます。
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