2017/07/06

ビッグデータマガジンの高橋です。
これからのビッグデータにかかわるソリューションや人物のお話を伺う「ビッグデータマガジン・インタビュー」。第1回は、データの見える化ソリューションを扱うアグラ株式会社 丹下代表へのインタビューです。
■複数の異なるデータを短期間で横断してみられるのが「AGRA」

<複数の異なるデータを短期間で
横断してみられるのが「AGRA」>
─AGRAとはどういうソリューションなのですか?
多くの大企業でERPパッケージの導入が完了しています。
ERPパッケージの導入により、業務プロセスとデータの統合(シングルインスタンス化)が促進されるかと思いきや、実際は部門ごと、業務ごとにバラバラに管理されているデータも多く、なかなか統合できていないと聞きます。
ビックデータ分析を行うには、企業全体のデータを横断的に整理し、最適化することが求められます。それをEIP (Enterprise Information Planning) といいます。
このEIPを実現し、企業のバラバラな情報を全体最適化し、経営者が見たい「切り口」でデータが集計、分析できるように加工するのがAGRAです。
──AGRAには、どのような特長があるのでしょうか?
データの可視化を非常に短期間で実現するという点です。
通常のマスター統合からはじめるデータ統合では、年単位のプロジェクトになることが多い中、AGRAは3か月で見える化を実現します。
短期間で実現できる理由として、マスター統合をせず、ノンプログラミングのマッピング技術を用いて、データ統合を実現している点が挙げられます。
また、様々な角度から変換データを見つつ、ロジックの設計・開発ができ、データの有用性を検証できるので、アジャイル開発のような感覚で、手戻りを減らすことができるのも、きわめて短期間での実現を可能にしています。
■データ解析に必要なのはデータの意味付け。「データは人が介在する」
──データ解析をするうえで、何が問題だと感じられていますか?
データの可視化までに時間がかかりすぎるという点です。
最近では、シングルデータベースの可視化は、時間を要さずにできますが、「ビッグデータ」で言われる、複数・多様なデータからの「気づき」を得るには、様々なデータの整合が重要で、そこに時間がかかります。
さらに、元データが正しく投入されていないということもあります。その結果、マスター管理、名寄せ、データクレンジングなどが必要となり、これもデータの可視化までに時間がかかってしまう要因でしょう。
──では、データの解析を行う上で重要なことは何でしょうか?
以前大前研一さんとお話したときにおっしゃっていた「データは人が介在せざるをえない」ということです。
データは人が見ないと意味を生み出しません。それも、その業務に詳しい人でないと、一見無機質なデータの裏に隠れた有機的なつながりを見つけ抱くことが困難でしょう。
──ということは、データとビジネス理解の両方が必要ということでしょうか?
そうですね。ビジネスを理解することは極めて重要です。実際、AGRAを導入する際も、まず、導入されるお客様のビジネス理解から始まります。お客様にヒアリングをしながら、データの意味付け、業務の可視化をし、モデル構築に入っていきます。
データ解析には、決して全て理解しているメンバーが必要というわけではなく、ビジネスを理解するメンバーとモデルを作れるメンバーがいれば対応可能です。
■データ活用は、様々な業界で考えられる
──AGRAはどのような導入事例があり、今後はどういった活用を考えられていますか?
当初、製造現場と財務データの統合などの製造業への導入がメインでしたが、ここ最近は様々な業界での導入事例が増えてきています。
顧客情報の統合といった営業支援の観点や、全社の購買の可視化による仮想的な集中購買、経営管理のためのBIツールの前のDWH構築、さらには製薬業界での研究開発におけるデータ分析などにも活用されており、お客様のデータ解析ニーズに合わせ、様々な活用方法が考えられます。
11月には、有名企業4社の導入事例セミナーも開催する予定です。
■インタビュー後記:技術とデータとビジネスをつなぐ必要性
ビッグデータのムーブメントは、技術先行でここまで来ました。ただ、技術主導なだけでは、活用する側までその情報が届かずに終わってしまいかねません。
丹下社長とのインタビューを通して、AGRAはビッグデータというキーワードが出る前から、データの重要性と「つなぐことによる価値」に着目し、ソリューションを開発されたことがよくわかりました。
ビッグデータのVarietyに対応し、様々なデータをつなぎ、そこに「人が意味を見出していく」。これを簡素化することで、多くの企業にとって、データ解析・ビッグデータが身近になっていくことでしょう。
活用方法は無限にあると思われます。これはビッグデータを提案する側、導入する側、双方が考え抜くべきところであり、AGRAはそのトライ&エラーに最適なツールだと感じました。