2017/07/06

一般財団法人 日本気象協会(本社:東京都豊島区、会長:繩野 克彦、以下「日本気象協会」)は、「需要予測の精度向上による食品ロス削減および省エネ物流プロジェクト」の2年目最終報告を発表しました。
この取り組みは、食品ロスの削減と、不要に発生する二酸化炭素の5%削減を目標に、気象情報やPOSデータなどのビッグデータを解析し、高度な需要予測を行った上でサプライチェーン全体の最適化を狙ったものです。
なお、本取り組みは、昨年の2015年から経済産業省の「次世代物流システム構築事業費補助金」の採択事業として行われたものです。
通常、食品の需要予測を行う際は、過去の販売実績であるPOSデータからその需要を予測するものの、メーカー(製)、中間流通・卸(配)、小売(販)のそれぞれのデータが十分に共有されてはおらず、その結果、予測精度の向上が難しいのが現状です。
そこで、日本気象協会は、POS データなど販売データと気象情報を用いて需要予測を行うことで、最適な注文量や生産量を分析。Mizkanの冷やし中華つゆで約20%弱の食品ロス、相模屋食料の豆腐においては約30%の食品ロスをそれぞれ削減することに成功し、気象データを用いた分析による生産量の調整が有効であることを証明しました。
また、ネスレ日本と川崎近海汽船が取り組んだ連携事例では、日本気象協会が提供する2週間先の気温予測情報を用いることで、貨物1トンあたり二酸化炭素約48%の削減に成功し、環境に優しい配送の効率化を実現しました。
そして、今年から、人工知能(AI)技術を用いてPOSデータ、SNSデータ、気象データの解析を行い、需要予測モデルの高度化を進めました。その結果、今後需要予測を優先的に進めるべきカテゴリーを明確化でき、小売店においては、来店客数予測の精度を20%向上させることができ、さらには、Twitterの位置情報付きツイート情報から、体感的な暑さや寒さを表す「体感気温」を作成しました。
今後は、本プロジェクトが持続可能な取組につながるよう、製・配・販の連携強化を行うことで、終売プロセス※※の最適化を行うとともに、今回開発した人工知能を用いた需要予測手法をさらに高度化し、小売の発注業務に活かしていく予定です。
※ モーダルシフト
二酸化炭素排出量の削減や物流の効率化などの観点から、自動車(トラック)から貨物鉄道や海運へ輸送手段を転換すること。
※※終売プロセス
季節商品において、季節終了時期に発注量を最適化し、販売機会を損なうことなく在庫を調整すること。