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BIツールの進化形「Domo」~先進企業が続々と導入する人気BIツールの強みとは~

time 2016/03/17

BIツールの進化形「Domo」~先進企業が続々と導入する人気BIツールの強みとは~

さまざまなBIツールが誕生していますが、今回はBIツールとしてはもちろんのことながら、ナレッジマネジメントツールとしても活用できる“Domo”を取材してまいりました。

Domoの日本国内での導入実績は、ヤフー株式会社、オイシックス株式会社、株式会社BookLive、Kaizen Platform,Inc.、株式会社エアクローゼット、株式会社ディー・エヌ・エーといった先進的な企業での導入が目を引きます。

いま、なぜこのようにDomoの導入が進んでいるのか。
その魅力をドーモ株式会社 シニアソリューションコンサルタント 奥野和弘さまと、シニアマーケティングマネージャー 小坂哲也さまにうかがいました。

 

先進的企業での導入が目を引きますが、まずはDomoについて教えてください。

 

CEOを務める Josh Jamesは、Omniture社というウェブ解析ソリューション企業を上場させた上で、Adobe社に18億ドルで売却した実力派経営者として有名な人物です。

そのJoshが「ビジネスインテリジェンスの矛盾を解決したい」という想いをもとに、ベンチャーキャピタルからの投資を受けて設立したのがDomo, Inc.です。投資家には、楽天株式会社の三木谷氏をはじめ、salesforce.com CEOのMarc Benioff氏など、業界に対する深い洞察力や先見性のある投資家たちが含まれることからも、Joshの新たな取り組みへ寄せられる各界からの期待の高さがおわかりいただけると思います。

そして、Domo, Inc.の創業メンバーは、Amazon、Facebook、Google、eBay、LinkedIn、salesforce.com、SAPなど、豊富な経験を持つメンバーで構成。創業翌年には日本法人“ドーモ株式会社”を設立して日本でのビジネス展開を開始しています。

 

—BIツールというとすでにいくつものツールが存在していますが、なぜDomoはこれほどまでに注目され、資金調達にも成功したのでしょうか。

 

経営者をはじめとするビジネスユーザーが感じている課題を理解している点がDomoの強みになっていると思います。ビジネスユーザー、特に意思決定に関わるビジネスユーザーが知りたいのは、設定したビジネス上の目標に対して、上手くいっているのか、それとも上手くいっていないのかということです。彼らは、どの分野に積極的に投資すべきなのか、どの分野には改善が必要なのかを迅速に見定め、ひとつひとつの意思決定を効果的なものにし、ビジネス上の成果へ確実につなげたいと考えています。

そのためには、CRMやERPなどのシステム上で個別のレポートをひとつひとつチェックするやり方では不十分であり、一目でビジネス全体を俯瞰的に把握できる必要があります。多くの企業ではこうした意思決定者のニーズに応えるためにExcelやBIツールを活用しています。しかし、レポート作成に長い時間がかかったり、些細なレポートの項目変更にもIT部門の支援が必要になったりと、意思決定者の想いと実態が異なるケースが多数見られます。

そこで、Domoはともすれば機能に偏りがちなBIベンダー目線ではなく、経営者視点で本当に必要な機能を吟味し、意思決定に必要なビジネス上の問いに対する答えを迅速に、しかも分かりやすく提供することを目指して開発を行っています。意思決定者が日々の改善のためのアクションを、より速く、より精度高く実行できるように支援することが我々の目標です。

近年、“データドリブン”という言葉をしばしば耳にします。Domoはデータを蓄積し、整形し、視覚化するツールという意味では確かに“BIツール”のカテゴリに近い製品ですが、データから得られた知見を、いかにビジネス上のアクションにつなげるかにフォーカスした、“ビジネスドリブン”のためのプラットフォームであり、通常のBIとは一線を画しています。

BIツール Domo

表現力豊かなDomo
(クリックにて拡大表示されます)

 

他のBIツールとは異なるということですが、具体的にDomoの強みを教えてください。

 

まずBIという観点で言うと、BIツールでデータを分析するには多くの前準備が必要となります。データソースに接続してデータを取得し、取得したデータを分析しやすい形に加工し、最後にそれを視覚化します。多くのBIはこの作業のために、別途データウエアハウスやETLなどのツールを必要とします。しかし、Domoはデータの視覚化のために必要なこれらのツールをすべてクラウド上でワンストップ提供しています。複数の製品をインテグレーションする必要はなく、使い勝手や管理性という部分で大きなアドバンテージがあると考えています。

さらに、こうした準備作業は通常ITユーザーやデータアナリストなどの専門家が主体となって行いますが、Domoでは一般のビジネスユーザーが自分自身で準備作業を行えるように工夫されています。たとえば、Domoには様々なサービス向けのコネクターが豊富に用意されていますが、その多くは接続のためのユーザ名とパスワードを入力して、取り込みたいデータを選択し、最後にデータ取得の頻度を指定するだけで、データ取り込みのための設定が完了するという簡単さです。DomoのWebサイトで接続可能なコネクターをご紹介していますが、これらはほんの一部で、実際には数百種類のコネクターがあります。
【接続可能なコネクタ(一例)】
https://www.domo.com/jp/connectors

また、Domoでは事前定義済みのテンプレートダッシュボードも多数提供しています。たとえばTwitter広告の効果を見たい場合には、Twitterのアカウントとパスワードを入力するだけで、数分後にはTwitter向けのダッシュボードが完成しますので、これを出発点として、ニーズに合わせてダッシュボードをカスタマイズしていくことができます。

専門家による作業の必要性を最小限にするための別な仕掛けとして、Domoは超並列カラム型データベースを採用しています。このタイプのデータベースは、一般的な行指向のデータベースよりも集計などの作業を高速に行うことができるので、ITユーザーによるパフォーマンスチューニングや事前集計テーブルの準備、データマートの構築などの必要性を減らすことができます。一方で、カラム型データベースが苦手な一部の処理については、通常の行指向データベースも併用するなどしてパフォーマンスの向上をはかり、ほとんどのケースで、ユーザーがパフォーマンスの問題を意識することなく、データ分析に専念できるように工夫されています。

 

 

実際に利用しているユーザーはやはり経営者がメインなのでしょうか。

 

経営者が求めるスピードと使いやすさ、そしてデータを一目で理解できることを目的として用意された豊富なチャートタイプは、経営者はもちろんのこと、業務上なんらかの意思決定をしなければいけない、あらゆるユーザーにご満足いただけるものだと考えています。実際、私たちのソリューションは経営者やマネジメント層はもちろんのこと、現場の社員の方々にも広くお使いいただいています。我々はすべてのビジネスユーザーが容易に利用できることを目指して、直観的に理解しやすい操作性を追求しています。

そして、最も重要な点として、データの視覚化はDomoのコンセプトの一部でしかありません。Domoが目指しているのは、データを中心としたPDCAサイクルの促進です。

BIツール Domo

 

ビジネスにおいて改善のためのPDCAサイクルを回していく重要性は誰もが認識するところですが、データを中心にしたPDCAサイクルを回そうとした場合、その実現のためには数多くの課題があります。

BIツール Domo

多くのBIツールはデータ分析やレポートの作成部分には強いのですが、PDCAサイクル全体においてデータ分析とレポート作成は一部分にすぎません。旧来のBIでは、分析した内容を共有し、問題について議論し、改善のアクションを決めていくために、メールや会議などの追加の手段に頼らざるを得ません。しかしこうしたやり方は非効率的で、せっかくデータ収集と視覚化を速めても、結局はこの部分がボトルネックになってしまいます。

BIツール Domo
一方で、DomoはPDCAサイクル全体を支援できるプラットフォームです。

たとえば、DomoはコミュニケーションのためにSNSやグループウェア的な機能も多くご用意しています。あるデータに関して問題に気づいたら、それをすぐさま関係者に共有して、チャットでディスカッションを始めることができます。物理的に会議のために集まる必要もなく、モバイルデバイスなどを活用してスピーディーに議論できます。チャットの中に問題の理解に役立つ別なデータへのリンクも埋め込むこともでき、人の知恵も借りつつ、多角的な視点で問題を分析するのに役立ちます。議論に必要なビジネスコンテキストを理解するのに役立つドキュメント資料を直接貼ることもできますので、新たに議論に加わった人もすぐに状況をキャッチアップすることができます。

Domoが「人」にこだわっている理由は、「データ」だけでは意思決定者のビジネス上の質問に完全に答えることは難しいからです。視覚化されたレポートから課題が見えてきた時、さらに詳細なデータにあたってみたり、統計的な手法を駆使して課題の追求をするのもひとつの解決手段と言えますが、必ずしもすべての情報がデータから得られるとは限りません。たとえばある店舗で急激に売り上げが伸びたということが分かっても、その理由が、商品の陳列を変えてみたからのか、近くで多くの人の集まるイベントがあったのか、あるいは近くにある競合店が臨時閉店だったのか、といった根本原因までは分からないかも知れません。このような場合には、“実際に現場にいる人に聞く”ことが状況を理解する上で最も役立ちます。一見、原始的とも思える手段ですが、大きな企業になってくると、他部門で起きていることが見えにくくなってきますので、部門を超えてデータを共有しつつ議論できるようにするだけでも大きな効果が出たとおっしゃるお客様も多くいらっしゃいます。Domoでは個々のデータの所有者や閲覧者が一目でわかりますし、個々のユーザーのプロフィールも管理できますので、その問題について誰に聞けばよいのかわからないといった状況も起こりません。

 

BIツール Domo

ドーモ株式会社
シニアソリューションコンサルタント
奥野和弘氏

こうして、Domoではユーザーが便利にツールを使っていくうちに、やがて「データ」と「人の知見」に基づいたさまざまな業務ノウハウがどんどん蓄積していきます。データだけでなく、ディスカッションの内容や、各担当者のアクティビティからも多くの気づきを得ることができます。もちろん各種情報に対して閲覧権限を付与することで適切な閲覧コントロールも行えます。

このように、Domoを導入いただくことで情報の可視化は当然のことながら、情報を可視化する本来の目的である、あらゆる企業活動において改善のためのPDCAサイクルを促進すると同時に、ナレッジの蓄積を支援していきたいと考えています。

インタビュー後記

これまでさまざまなBIツールを実際に見てきましたが、ひとくくりにBIツールといってもツールごとに特徴があり、利用用途に応じてBIツールを選択できる時代になってきたことを強く感じました。

Domoは経営者をはじめビジネスユーザーが臆せず使えるBIツールを超えたナレッジマネジメントツールであるといえます。

スピーディーかつ柔軟にデータに基づいた的確な意思決定を支え、ビジネス変化に追随できるDomoへ期待が寄せられています。

(土本寛子)

    

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