2017/07/06

“山田太郎さん(仮名)は、最近、自身の運動量と時間から運動強度を計測できる活動計を購入し、自分が一日でどれだけ歩いているかを意識した生活をはじめました。きっかけは、健康診断で血圧が高いことを指摘されたことでした。生活習慣の改善のひとつとして活動計を購入し、現在は高血圧症の予防として一日8,000歩を目標にしています。そして、1か月に1回、日々の活動の記録をいつも利用している日本調剤の店舗である調剤薬局へ提出し、その場でレポートとしてデータを可視化しています。
さらに、薬剤師とレポートを使った目標設定や、健康上のちょっとした悩みを相談し、体調を崩して病院へ行かなくても済むよう健康を意識した生活をこころがけています”
このように本格的に病気を発症する前の状態「未病」に関連するサービスが続々と誕生しています。今回はデータを可視化することで健康管理を行うサービスをてがける日本調剤株式会社 櫻井琢也さま、川原善紀さまからお話しをうかがいました。
――サービス商品について教えてください。
今回ご紹介する商品は、歩行強度計から自身が予防したい病気や病態に対する運動状況を調剤薬局でレポートとして受け取れるサービスと、お薬手帳のアプリを使った健康管理サービスの2種類です。
ひとつめは、「歩行強度計+N-system」といって、テルモ社製の歩行強度計「メディウォーク」と、日々の活動量から病気を予防できる可能性を判定/可視化できる「N-system」と呼ばれるシステムを組み合わせ、そのデータを分析することで得られた結果を調剤薬局にて受け取れるサービスです。
運動をすることは、健康を促進し、病気の予防につながることはみなさんご存知だと思いますが、中之条研究とよばれる10年以上にわたって実践されている健康実験では、「ウォーキングに取り組んだ人の医療費は、そうでない人に比べて約7割に抑えられている」といった研究結果も出ています。
そして、これらの研究をもとに、日常の運動量と病気の関係性を明確にしたのがN-Systemです。N-Systemは、肥満予防から寝たきり予防まで、20項目の病気や病態に対する運動での予防率がわかります。日本調剤では、このN-Systemと運動量を記録できる活動計メディウォークを活用し、店舗にて健康維持のためのレポートを作成し、アドバイスしています。
レポート内でも出てくる「中強度」とは、簡単に説明すると、“うっすら汗ばむ”位の活動を指します。ウォーキングでたとえるなら、会話は出来るけれども歌は歌えないようなレベルの活動をさします。この身体活動を1日どのくらい行うかが健康づくりのポイントとなります。
まずは、ご自身の平均的な歩数や中強度活動時間を把握した上で、予防したい病気や病態ごとに目標を設定します。
例えば、高血圧症や糖尿病資質異常症の予防の場合、一日の歩数は8,000歩、中強度活動時間は一日当たり20分です。この目標に対し、歩数もしくは中強度活動時間を増やすように日々心がけます。
健康づくりのためには、食事や睡眠といった生活習慣も非常に重要ですが、このように予防のための基準となる目標と生活の実態がデータとして可視化されることで、健康を意識しやすく、また無理せず続けられるような取り組みになると感じています。
―――もうひとつのサービス、お薬手帳のアプリを使った健康管理サービスについて教えてください。
調剤薬局でお薬を処方する際にお薬手帳をお使いになっていらっしゃる方も多いかと思いますが、日本調剤では無料でご利用いただける「お薬手帳プラス」というアプリをご用意しています。このアプリは、お薬手帳の電子化だけではなく、処方せんを撮影して希望する日本調剤の薬局に事前に送ることで待ち時間を有効活用してお薬を受け取れるサービスなどがあり、好評いただいております。
このほかにも、家族分のお薬も記録できるなどの機能に加え、お薬手帳とともに日々計測している血圧や血糖値状態を可視化する健康記録という機能があります。今回は、この機能と医療機器の販売を組み合わせた「日本調剤の電子お薬手帳“お薬手帳プラス”を用いた連携電子血圧計の測定値記録サービス」や「日本調剤の電子お薬手帳“お薬手帳プラス”を用いたグルコース測定器の測定値記録サービス」というサービスを提供しています。
血圧は、心臓病や脳血管障害を予防する上で重要な指標のため、毎日測定する必要があります。また、血糖値コントロールのためには日常生活における活動がどのように血糖値へ影響しているかを把握する必要があり、そのために定期的な測定記録が重要となってきます。これらの測定の記録をお薬手帳プラスがお手伝いします。
そして記録した結果はいつでも確認できます。
―――これらをサービス化した背景を教えてください。

日本調剤株式会社
社長室長 櫻井琢也氏(左)、
社長室 川原善紀氏(右)
私たち日本調剤は、1980(昭和55)年の創業以来、「医薬分業」を追求し、日本を代表する調剤薬局企業として全ての都道府県に調剤薬局を展開し、現在では約2,500人の薬剤師を有しています。
病院で医師が処方した薬を調剤し、薬についての説明や服用状況の確認を行うのが調剤薬局としての役割です。
しかし、私たちは薬に関することだけではなく、地域のみなさまの健康を守りたいという想いがあります。そして、超高齢社会に必要とされる“調剤薬局の新しい姿”も追求しています。
その新しい調剤薬局のあり方として、日々のデータを元にみなさんの健康的な生活をアドバイスする仕組みである今回のサービスを展開することにしました。
病院は病気の治療のために、そして、日々の健康に関する相談は調剤薬局で。
私たち日本調剤は、健康に関する相談を気軽にできる場所としてみなさまのご利用をお待ちしています。
編集後記
継続的な健康管理のモチベーション維持にもつながるデータの可視化。その背景にはアプリやシステムの存在がある一方で、専門家である薬剤師からデータを元にしたアドバイスが受けられる本サービスは、ITと日常生活が融合された まさに新しいカタチのヘルスケアのひとつであると感じました。
なお、ここでご紹介した日本調剤さまのサービスは、神奈川県民の方であれば、神奈川県の事業として、期間限定で助成が受けられます(販売は2016年2月13日まで)。

詳しいサービスの内容は、薬局スタッフまでお問い合わせください。
事業についてのお問い合わせ先:
03-6810-0826(日本調剤 未病市場創出促進事業事務局
平日9:00~18:00)
神奈川県の未病市場創出促進事業「日本調剤薬局」
http://www.pref.kanagawa.jp/osirase/0121/me-byo/017_001.html
※申し込みならびに詳しいサービス内容は、薬局スタッフへお問い合わせください。
神奈川県の未病市場創出促進事業では、他にも、遺伝子検査「MY CODE」(https://mycode.jp/landing/kanagawacampaign_a01.html)、KDDI株式会社スマホ de ドック(https://www.smartkensa.com/)など、期間限定で様々な商品・サービスが神奈川県の助成で購入できます。
※本記事の内容は2016年2月4日現在の情報です。
最新情報はWebサイトよりご確認ください。
【神奈川県 未病市場創出促進事業のホームページ】
http://www.pref.kanagawa.jp/osirase/0121/me-byo/
(土本寛子)