2017/07/06
爆発的にデータ量が増大するビッグデータ時代を迎え、大量データを可視化するためのBIツールが続々と誕生しています。今回は操作性やUIにストレスを感じさせないBIツール「BI21」についての特集です。業務担当者が違和感なく利用できるBIツールと定評があるBI21、そのヒントを富士インフォックス・ネット株式会社 南智雄さまにうかがってまいりました。
―――BI21について教えてください。
BI21は韓国でうまれたBIツールです。ツールの特徴はまさに画面を見ていただければわかると思います。
イメージとしては、Microsoft社のExcelをWebブラウザで開いている感覚です。見た目だけではなく操作も、セル内をドラッグして数字をコピーする、関数を使う等々、Excelで行っている操作そのままだと感じられると思います。この技術は、日本でも韓国でもExcelを活用した特殊技術として特許を取得しています。
―――なぜExcelにこだわられているのでしょうか。
韓国、日本問わず、大規模なBIツールを導入したお客様でも、せっかく導入したBIツールを使わず、結局使い慣れているExcelでレポートを作成して、どんどんExcelファイルが増えているというケースを耳にします。
その理由としては、「操作の習得に時間がかかる」「ちょっとした変更を情報システム部門やITベンダーにお願いする必要がある」といった点が挙げられるようです。
そのため、BI21は、操作の習得にストレスを感じさせないExcelの良さを活かしつつ、Excelでは実現できない点を強化したBIツール「BI21」を開発しました。
―――BI21がExcelとは異なる点を教えてください。
大きく3つの点で異なります。
BI21がExcelと異なる点――――――――――
1.情報共有に強い(Webブラウザを利用)
2.権限管理が容易
3.データ加工の操作性が高い(VBAや複雑な計算式なくデータベースを管理)
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BI21がExcelと異なる点:1.情報共有に強い(Webブラウザを利用)
Excelの場合、その情報を共有する際には同時書き込みはできず、読み取り専用となります。BI21は、そのようなExcelでの情報共有の難しさに対し、Webブラウザを通じて情報共有することで解決しています。これにより複数ユーザーが同時にデータを閲覧、更新することができます。
また、マスタデータという観点においても、Excelでの管理では同時書き込みできない、ファイルが破損した場合等を含めた版管理からのデータ復旧等、管理が煩雑となります。しかし、Excelファイルとしてではなく、データをデータベースとして一元管理することで、正しいデータを負担なくスムーズに管理できるようになります。
そして、BI21ではレポート作成できるデザイナー機能もあり、複雑なマクロ等を組まなくてもレポート実行までを行えます。ここでのポイントは、忙しいIT部門や追加費用が発生する外部業者に依頼することなく、ユーザー自身がノンプログラミングでレポートを作成できる点です。見たい人が見たいようなレポートをすぐに作れることで日常的にデータ分析を行えるようになります。
その上、BI21はExcelに比べ、データをドリルダウンできる点も非常に有用であると考えています。複雑な集計作業や他のユーザーのデータをマージすることなく、関連するデータで見たいデータを見たい切り口でどんどん深堀できるようになります。これは、操作者の思考スピードにツールが追随していくというセルフサービス型BIの特徴はExcelとの特徴的な違いともいえると思います。しかもBI21はセルフサービス型BIでありながらも、基本操作はExcel操作と同一のため、利用者が受け入れやすい点が特徴です、
BI21がExcelと異なる点:2.権限管理が容易
Excelで情報を共有しようとした場合の多くが、ファイルサーバでそのファイルを共有することになると思います。BI21はそのフォルダやファイルに対する権限設定や管理がExcelと比較して容易です。ファイルサーバでのデータファイルの共有では、その権限設定を情報システム部など管理者に依頼する必要があると思いますが、BI21では利用者自身が権限付与および管理できます。
BI21がExcelと異なる点:3.データ加工の操作性が高い(VBAや複雑な計算式なくデータベースを管理)
Excelでデータを加工・集計するためには、VBAや複雑な計算式が必要となります。VBAやExcel上での計算式でのデータ処理は処理速度が遅く、また、開発した人しかその算出ロジックや参照等がわからないことも多く、メンテナンスが非常に困難になり、ブラックボックス化していく傾向があります。
BI21ではVBAの知識がなくてもExcel操作だけでダッシュボードが作成でき、データベースのデータを変更できます。
これによってそれまでExcelで入力してもらったデータを取りまとめるといった作業も不要になりますし、CSVでデータを抽出してExcelで加工するためにマクロやVBAを使うことなく、入力者が直接データを入力することでデータが反映されます。
また、それまで使っていたExcelのフォーマットのまま入力してもらいつつ、実際はデータベースでデータを管理するといった運用上の移行も容易に行えます。また、その入力画面もノンプログラミンで設計できます。
―――Excelにアドインして利用できるMicorosoft社のセルフサービス型BI「PowerPivot」もあると思うのですが、BI21 との違いを教えてください。
Micorosoft社のPowerPivotはExcelとの親和性が高く、Excelのデータ分析機能をよりリッチにしたツールといった点では弊社のBI21とコンセプトは似ているかもしれません。
しかし、PowerPivotでは権限管理をはじめとして運用が煩雑になる傾向にあります。
また、管理面に加えてPowerPivotでは実現したい要求が高度になってくるとExcelそのままの操作や関数だけでは使えず、たとえば関数であればDAX関数というExcelの関数とはまた別の関数を学ぶ必要が生じます。
BI21はユーザーにExcelライクに操作できるようにExcel機能を100%活用しつつ、Excelだけでは実現できない機能については、たとえば、レポート作成に関してはレポートが作成できるDesignerツール等もご用意するなど、 新しく関数を学ぶ必要なく簡単な操作でレポートが作成できます。
―――代表的な事例について教えてください。
製薬会社さまの予実管理システムでBI21を導入頂きました。
BI21導入前はすべてのデータをExcelで管理されており、「複数同時入力が出来ない」「VBAや数式で算出ロジックがブラックボックス化する」「情報のとりまとめに時間がかかる」などの課題が生じていました。これらはExcelでデータを管理されている方々に共通する課題ではないでしょうか。
そのような中、BI21を導入いただくことでそれらの課題を解消することができ、実質10日間かかっていた翌年度の売り上げ計画立案作業は約2日間に短縮することができました。また、月末にまとめて売り上げ実績を人が取り込んで予実績管理していたものが、BI21 導入により日次単位で実績情報を取り込めるようになり、リアルな予実績管理を実現しました。リアルなデータを把握できることは、実績から計画へのフィードバックまでが短縮され、経営スピードの向上に貢献できたのではないかと感じています。
また、リアルな予実績管理に加えて、それまでExcelで管理していたマスター情報をBI21で管理することにより、マスタデータを正しく保持できるようになりました。また、一元管理されたマスタデータの登録や変更、削除に関してもBIビューアから行うことができ、データの精度向上及び管理工数の削減につながりました。
ほかには、某都市銀行さまにもご導入いただいております。BIツール導入前はExcelでデータを管理されていましたが、400支店の取引データを分析する際、明細レコードが1億件となり、データ量的にExcelやAccess等で管理するレベルではなく、データ量的にBIツールの検討に至ったようです。
そして、経営者層がExcelでのレポートを好まれ、Excelでのアウトプットが必要とされるため、BIツールを導入してもExcelでのレポートを作成したいという要望があり、Excelと容易に連携できるBI21をご導入いただきました。
それまではExcelの帳票を配布して支店別レポートの情報共有をされていましたが、BI21のViewerを用いることで、帳票配布工数の削減のみならず、データ更新のタイミングで最新情報にデータがアップデートされるようになりました。
あとは、BI21は専門学校でも導入いただいています。学生の出席率や単位管理、申請書や証明書の発行等、学生データを活用した業務ソフトとしても好評です。
この場合もやはり、操作の容易さと既存のExcelフォーマットを変えることなく業務に適用できることで、現場の方々が受け入れやすく、結果として使われないシステムになることなく業務に溶け込んでいけるのだと考えています。
―――最後に読者のみなさんへメッセージをお願いします。
新しいシステムを導入した場合、既存の業務に対して何かしらの業務プロセスの変更や、システム操作の習得など、ユーザーに何らかのアクションをお願いすることになると思います。しかしBI21は、Excel中心で業務を行ってきたそれまでの業務を変更することなく導入いただきつつ、Excelだけでは実現できなかった機能を追加できます。
そのため、現在Excel中心で行われているさまざまな業務をBI21に導入いただくと、違和感なくそして従来よりも便利に感じていただけるのではと考えています。
※記載されている会社名、製品名またはサービス名は各社の商標または登録商標です
【執筆者情報】
土本 寛子(つちもと ひろこ)
ビッグデータマガジン副編集長
【経歴】モノづくりに興味を抱き、製造業向けシステム開発プログラマー、SE、業務およびシステム導入コンサルタントとして従事。また、ナレッジマネジメントやWebデザイン開発などにも関与。現在はビッグデータマガジンを運営。