2017/07/06

ソーシャルネットワークの発達によって様々な人とつながれるようになり、最近では、個人が所有する様々なモノにまでつながるようになってきました。それが“シェアリングエコノミー”です。
今回は所有から共有へとシフトしているこのシェアリングエコノミービジネスに注目し、そのデータの解析やビジュアライズに注目していきます。
*本記事は「OPT DataScienceLab」からの寄稿記事を、ビッグデータマガジンで一部編集してご紹介しております。
今日はあいにくの雨ですね。気象庁の予報によると、今年の梅雨空けは7月20日頃のようですよ。
雨の日だからといって湿度が高いように思いますが、会社によってはエアコンがガンガン効いて乾燥しているケースもありますので体調管理もしっかり心がけたいですね。
ところで、みなさんは「シェアリングエコノミー」という言葉はご存じですか。シェアリングエコノミー(共有型経済)とは、サービス・人材、プロダクトなど、有形無形のものを共有し、利用者が必要な時に利用してもらうサービスのことを言います。
これらのワードはご存じの方は多いのではないでしょうか。
その他にも、
空き部屋を短期間貸し借りしたい人同士をマッチングする「Airbnb」、
遊休設備を生かして安価なオンライン印刷サービスを提供する「ラクスル」、
駐車場を貸したい人と借りたい人をマッチングする「akippa」、
好きな洋服を借り放題「Licie」、
傘シェアリングの「シブカサ」
といった様々なサービスが登場し、家(部屋)・駐車場・お金・乗り物・服・バッグ・アクセサリー・時間・ペット・食事に至るまで様々なものがシェアされる時代になってきています。
今日はそんな、「シェアリングエコノミー」ビジネスに注目した解析事例とビジュアライゼーションをご紹介したいと思います。
サイクルシェアリングとは、自転車の共同利用サービスのことで、利用者は一定のエリア内に複数配置された拠点で自由に自転車の貸出・返却をすることができます。
自転車は排気ガスを出さない環境にやさしい都市内交通手段として、2000年頃から欧米で普及が進んできました。
地方公共団体や民間企業、またはその協業で運営されるケースが多く、利用料金・細かい仕組みは各サービスによって様々あるようです。日本では放置自転車の削減策としても注目され、社会実験や事業化などの動きが広がっています。
利用者のメリットとしては…
・便利で安い。いつでも好きな拠点から好きな時間だけ利用でき、使った分だけの料金で利用できます。
・通勤などの定常利用に加え、拠点があれば旅行や出張先でも利用できます。
・イニシャルコストが不要。購入をしなくても自転車に乗れます。
・ランニングコストが不要。メンテナンス(修理・部品交換)や保管料(駐輪場)にかかる費用や手間の負担がありません。
・廃棄コストが不要。いらなくなったときに処分費用の負担がありません。
社会全体のメリットとしては…
・自転車が移動手段として普及すれば、排気ガスを出さないので環境にいい。
・放置自転車問題の改善が期待されます。
・利用者の運動量が増えて、メタボ対策や予防医学に貢献できる可能性があります。
・使われていない土地をサイクルシェアリングの拠点として有効活用できます。
事業者のメリットとしては…
・新しいビジネスの展開(収入源)ができます。
・上記により、これまで接触できなかった新規顧客の獲得が期待できます。
・サービスの利用状況(データ)を使い、人流に関する新しいサービスの創出ができます。
このように、サイクルシェアリングのメリットをいくつか並べてみましたが、自転車に限らず、シェアリングエコノミーには多くのメリットがあります。しかし、日本での普及を考えればもうお分かりかと思いますが、課題も多く残されています。
その課題とは…
・新しいサービスは一般的に知られていないので、いかに知ってもらい、利用してもらうかが難しい。
・どこに拠点を置くか、またその拠点に何台設置するかが予測しにくい。
→利用者が利用したいと思ったときに、自転車が無ければ離脱してしまいます。
→逆に利用者が少ない場合は、設備費だけがかかり、初期コストを回収できません。
このように、どこに拠点を置くか、そこにどれくらいの規模の自転車を用意するかが非常に重要な要素になってきます。利用者も自宅や会社の近くに拠点があれば、利用したいと思うようになるでしょう。
また、自転車は雨の日に利用しづらいので、天候・天気にも左右されますし、平日や休日、利用時間帯によっても需要は常に変化していきます。
そのため、いろんな要素を踏まえて、需要を予測することが非常に重要なのです。このように、どこに拠点を、どれくらいの規模で用意するか(撤退するか)をデータ解析によって明らかにするサイクルシェアリング需要予測の解析事例をご紹介します。
■サイクルシェアリングの解析事例
今日ご紹介するのは、「Kaggle」の解析コンペ「Bike Sharing Demand」。
これは、天候や曜日などの要素を踏まえて、サイクルシェアリングの需要予測を行う解析コンペです。
ちなみに「Kaggle」は、このブログで何度もご紹介してきたデータ解析コンペティションのプラットフォームのことです。
この解析コンペに賞金はついていませんが、自身の力試しや技術の習得のために参加してみてはいかがでしょうか。
利用したデータは…
・ある拠点における2年間の利用状況データ
データの形式
・日付け/時間(1時間毎)
・季節(春、夏、秋、冬)
・曜日(平日、休日)
・天気(晴れ、晴れ時々曇り、曇り、小雨、雨、豪雨、霧、雪…etc.)
・風速
・気温
・体感温度
・湿度
・非会員の利用数
・会員の利用数
・利用総数
各月の1~19日までのデータで学習しモデルを構築し、各月の20日~月末までの利用総数を予測します。
この解析事例では、1拠点のデータを対象にしていますが、複数拠点のデータを解析することでより効率的な運用ができるようになります。
例えば…季節や時間帯、曜日による
・料金の変動
・設置台数の変動(他エリアから当該拠点に移動、またはその逆)
・販促の実施(キャンペーン・広告)
などです。
今日ご紹介した「Bike Sharing Demand」の詳細をご覧になりたい方は、下記のリンクをご利用ください。
開催期間は終了しているものの、内容やデータは公開されています。
「Bike Sharing Demand」の詳細はこちらへ
■全世界のサイクルシェアリングが可視化!?
サイクルシェアリング…。世界では、どれくらい普及しているのでしょうか。
そんな世界中のサイクルシェアリングを可視化した「BIKE SHARE MAP」をご紹介します。世界で150都市以上の、15000拠点に関するサイクルシェアリングの稼働状況が可視化されています。
このサイト、なんと2分毎にデータが更新されているそうです。ほぼリアルタイムですね。拠点規模の大きさは、円の大きさで表され、稼働の割合は色で表現されています。
2015年7月1日11:52時点で最も稼働している割合が高いエリアは「サンディエゴ」で、最も稼働している台数が高いエリアは「台北」のようです。
上段部には見たい都市をフィルタやタブもありますので、すぐにジャンプできるのも嬉しいですね。
■ニューヨークのサイクルシェアリングを可視化
さて、続いては、ある地域に特化したサイクルシェアリングを可視化したビジュアライゼーションをご紹介したいと思います。
それは、ニューヨークです。ニューヨークは言わずと知れた大都会ですね。そして、おしゃれニューヨーカーにとって自転車は人気の移動手段です。
そんなニューヨーク(300拠点)に特化したサイクルシェアリングを可視化したものが「CityBike」です。
ストリート名や駅の名前を入力すると、その周辺拠点の状況を把握できますし、カーソルを合わせると、自転車の稼働台数、駐輪場の空きスペース数なども表示してくれます。右上側に貸し出し自転車数、駐輪場スペース数、その両方のタブもあるので、自分の確認したい数がすぐに表示されて、便利です。
みなさん、いかがでしたでしょうか!?
今日は、サービス・人材、プロダクトといった様々なものを共有して、利用者が必要な時に利用してもらうエコノミーシェアリングについて焦点を当て「サイクルシェアリング」をご紹介しました。
日本で最も普及している「カーシェアリング」は、ここ最近急速に利用者数を増加させているようです。
公益財団法人交通エコロジー・モビリティ財団の調査(2015年3月)によると、
・車両拠点数:9,451カ所
・車両台数:16,418台
・会員数:681,147人
にまで増加してきているようですね。
家、車、服など、これまで私たちが所有することが当たり前だったモノがすべてシェアすることが当たり前になる…そんな時代もそう遠くないのかもしれません。
サイクルシェアリングの解析事例「Bike Sharing Demand」
詳細はこちらへ。
世界中のサイクルシェアリングを可視化「BIKE SHARE MAP」
詳細はこちらへ。
ニューヨークのサイクルシェアリングを可視化 「CityBike」
詳細はこちらへ。
本ブログでは様々な記事を紹介しています。ぜひご覧下さい。
過去のブログ一覧はこちら
データをビジュアライズして眺めているだけでも興味深いですが、それに加え、活用する人の情報やさまざまなデータを組み合わせることで、ビッグデータらしい価値が生まれ、環境や社会にやさしい行動を生み出すのに役立つことがよくわかります。
【寄稿サイト情報】
OPT DataScienceLab
(https://datasciencelab.jp/)
株式会社オプトホールディングの協力のもと、同社運営サイト「OPT DataScienceLab」より情報を提供しております。
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