2017/07/06

ビッグデータマガジン 土本寛子です。
今回はビッグデータ関連書籍のご紹介です。お探しの情報に効率よくたどりつけるよう逆引きでご紹介します。
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■【概論】ビッグデータそのものについて理解を深めたい!
■【事例】他社事例をまとめたい!
■【利活用】ビッグデータを利活用するための「王道」や「基本」が知りたい!
■【手法】ビッグデータ分析を行う手法を具体的に学びたい!
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■【概論】 ビッグデータそのものについて理解を深めたい!
1.ビッグデータの正体 情報の産業革命が世界のすべてを変える
ビクター・マイヤー=ショーンベルガー (著), ケネス・クキエ (著)
「ビッグデータ」を本格的に論じたベストセラーで、ビッグデータについての全体像や事例がわかります。
ビッグデータ利活用と従来のデータ分析の違いを、「すべてのデータを扱うN=全部の世界」「データ精度は重要ではない。量は質を凌駕する」「答えがわかれば理由はいらない」など、わかりやすい言葉で説明しています。
2.ビッグデータの衝撃 巨大なデータが戦略を決める
城田 真琴 (著)
ベストセラー『クラウドの衝撃』の筆者 城田真琴氏が著したクラウドに次ぐ新常識であるビッグデータについて解説した書籍。バズワードと言われたビッグデータですが、クラウドというキーワード同様、すっかり定着していますね。
この書籍では、ビッグデータとは何か、また従来までの取り組みとどう異なるか等の概論にくわえ、技術的側面、ビジネス活用する際のポイントや課題、プライバシーについても多くの事例を交えて書かれています。
3.ビッグデータ競争元年 Harvard Business Review (ハーバード・ビジネス・レビュー) 2013年 02月号 [雑誌]
「21世紀で最もセクシーな職業 データサイエンティスト」というキーワードを耳にしたことのある方も多いのではないでしょうか?
この「もっともセクシーな職業 データサイエンティスト(Data Scientist: The Sexiest Job of the 21st Century)」というキーワードは、この雑誌でのトーマス・H・ダベンポート氏の記事から誕生しました。(日本版Harvard Business Reviewでは、「もっともセクシー」という表現ではなく「データ・サイエンティストほど素敵な仕事はない」と翻訳されていますが)
アメリカでの出版は2012年10月ではあるものの、ビッグデータ初期に出版されたからこそのトレンドに関係しない考え方は、いま読み返しても非常にわかりやすくおすすめです。
4.アナリティクス競争元年Harvard Business Review (ハーバード・ビジネス・レビュー) 2014年 05月号 [雑誌]
最近、ビッグデータというキーワードとならんで「アナリティクス」というキーワードをよく目にしませんか?
前述、Harvard Business Review「ビッグデータ競争元年」から約1年後に発行されたこの「アナリティクス競争元年」。
“その変化は「アナリティクス3.0」と呼ぶにふさわしい”とトーマス・H・ダベンポート氏が論説するように、今後のアナリティクスは従来までと異なり予測がメインになってくるとのことです。
ビッグデータ時代を迎え、これからのデータ分析がどう変わっていくかなどを理解するのに適切な書籍のひとつです。
■【事例】他社事例をまとめたい!
5.ビッグデータ総覧
日経BP社発行
業種、業務、効果、使用したデータで整理された国内外150以上の事例を詳細に掲載。
同業他社の取り組みからデータ活用のヒントを得たり、効果別に他社事例を研究したりと、価格は185,000円と高額ではありますが事例集としてはダントツおすすめの1冊。
また、事例だけでなく、産業別にどのような取り組みがされているかのデータ活用マップや、データソース一覧、関連する法制度、産業別のIoT・M2M活用についての最新動向等が網羅されています。
6.会社を強くする ビッグデータ活用入門 基本知識から分析の実践まで
網野 知博 (著)
「とりあえず、うちでもビッグデータで何かやろう!と言われたらこの一冊」の書籍紹介文通り、自社でビッグデータを活用しようとしたとき、どこから手をつければよいのかわからない方におすすめ。
前半は、自社のビジネスモデルにどうビッグデータを活用すべきかのヒントを得られるビッグデータ概論。後半は、実際の分析について解説。
77社のビッグデータ活用事例リストもまとめられており、国内外の活用事例を知ることもできます。
■【利活用】ビッグデータを利活用するための「王道」や「基本」が知りたい!
7.分析力を武器とする企業
トーマス・H・ダベンポート (著) ジェーン・G・ハリス (著)
データ活用界のピーター・ドラッカー トーマス・H・ダベンポート氏がデータをどう活用すべきかを解説する一冊。昨今、BIが注目されていますが、BIの重要性についても説いている書籍ともいえます。
具体的には、分析力を武器にするまでを5つのステージとして整理し、これら5つに対して、それぞれのステージにおける課題や対策が解説されています。
ステージ1「分析力に劣る企業」
ステージ2「分析力の活用が限定的な企業」
ステージ3「分析力の組織的な強化に取り組む企業」
ステージ4「分析力はあるが、決定打に至らない企業」
ステージ5「分析力を武器とする企業」
自社が現在どのステージにあり、どう課題を解決していくかの方策のヒントになる書籍です。
8.分析力を駆使する企業 発展の五段階
トーマス・H・ダベンポート (著), ジェーン・G・ハリス (著), ロバート・モリソン (著)
上述「分析力を武器とする企業」の次に出版されたトーマス・H・ダベンポート氏の書籍。
自社がどの程度の分析力があるか、またこの先どうしていけばよいのかを知ることのできるフレームワーク「DELTAモデル」で有名な書籍です。
DELTAモデルとは、以下で構成される分析力を定着させるために必要な要素です。
D Data データ
E Enterprise エンタープライズ(組織的な取り組み)
L Leadership リーダーシップ
T Target ターゲット
A Analyst アナリスト
これら5つの要素を、前著「分析力を武器とする企業」で解説していたデータ分析を行う際に必要とされるステージごとに進化させることを提言しています。
9.データ・アナリティクス3.0 ビッグデータ超先進企業の挑戦
トーマス・H・ダベンポート (著)
これもまたトーマス・H・ダベンポート氏の書籍。
前2冊と異なり、この書籍はビッグデータにも特化。DELTAモデルの説明もあり、上述2冊を読まなくてもDELTAモデルが理解できます。
また、付録として「ビッグデータに対する準備度を計るためのチェックリスト」が掲載されており、自社におけるビッグデータの取り組み度合いを客観的にチェックできます。
■【手法】ビッグデータ分析を行う手法を具体的に学びたい!
10.ビッグデータの使い方・活かし方―マーケティングにおける活用事例
朝野 煕彦 (著)
豊富な活用事例とリアルなデータを用いた説明により、マーケティング分野における情報抽出や解析について、初心者でも技術的なことがわかるようになる一冊です。
説明がとにかく丁寧で、解説の中で出てくるわかりづらいキーワードは注釈やコラムで説明されています。
11.戦略的データサイエンス入門―ビジネスに活かすコンセプトとテクニック
Foster Provost (著), Tom Fawcett (著)
ビッグデータをビジネスで活用する際に必要とされる概念やモデリングについて体系的に解説するオライリー本。
統計専門家ではない読者を対象としているようですが、どちらかというと「モデリングを行う」、「予測モデルを作る」など統計分析を行う人向けの書籍で、統計領域を専門とするデータサイエンティストが実際の業務でつまずきやすい点と、その対応について書かれています。
12.ビッグデータ時代のマーケティング ベイジアンモデリングの活用
佐藤 忠彦 (著), 樋口 知之 (著)
ベイズの理論を使った機械学習について解説している書籍です。ビッグデータをマーケティング分野で高度に活用するためには従来型の統計ではなくベイジアンモデルを用いることが有効であるという視点から、その基本的な考え方から応用までが網羅されています。
筆者のひとりである樋口氏は、統計数理研究所の所長を務める 日本の統計学の第一人者でもあります。
ビッグデータマガジンでも樋口氏にインタビューを行っております。
日本の統計数理研究の中心的研究機関 統計数理研究所さまインタビュー
https://bdm.dga.co.jp/?p=1847
13.Rによるデータサイエンス
金 明哲 (著)
統計領域を専門とするデータサイエンティストは必ず読んでいるといえるRを使ったデータマイニングのバイブル。データ解析の基礎ともいえる古典的な因子分析などから機械学習まで、Rでどのようなことができるのかをコード付きで解説しています。
14.データサイエンティスト養成読本 [ビッグデータ時代のビジネスを支えるデータ分析力が身につく! ]
技術評論社出版
データサイエンティストに必要とされる要素を凝縮したMook(書籍+雑誌)です。
データサイエンティストについての概念的な説明だけではなく、具体的にどのようなスキルが必要とされ、現場ではどのようなデータ分析が行われているかがわかる一冊です。
RやPyttonらのインストール方法からスクリプトに至るまでもが丁寧に紹介されており、自分の手を動かしながら初学者でも独学で学習できる構成になっています。
15.NOSQLの基礎知識 (ビッグデータを活かすデータベース技術)
本橋信也 (著), 河野達也 (著), 鶴見利章 (著)
これ一冊で「NOSQL」を理解できる書籍です。
著者は、ビッグデータマガジンでもインタビューしておりますクラウディアン株式会社 鶴見利章さま、河野達也さまです。書籍とあわせて、インタビュー記事もご覧ください。
ビッグデータと「NOSQL 」クラウディアン株式会社 ~ビッグデータマガジン・インタビュー~
前編 https://bdm.dga.co.jp/?p=589
後編 https://bdm.dga.co.jp/?p=617
なお、統計関連書籍はこちらの過去記事で詳しくご紹介しております。あわせてご覧ください。
書籍20選~効率よく目的別に統計分析を学ぶ~
https://bdm.dga.co.jp/?p=1612
■~ビッグデータで困ったら~ビッグデータマガジン編集部までご相談ください
ビッグデータと一口にいっても、その検討範囲は多岐にわたり、社内に相談できる人がいないため困っているというお話をよくうかがいます。
そのような際には上記で挙げたような書籍から情報を補完することも有用ですが、お困りのことがありましたら、お気軽にビッグデータマガジン編集部までご相談ください。
読者のみなさまがどのようなことにご興味があり、またどのようなことでお困りなのか、ぜひビッグデータマガジン編集部までお聞かせください。
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執筆者情報
土本 寛子(つちもと ひろこ)
~ビッグデータマガジンを通じて、ビッグデータに関係する方々を応援しています~
【経歴】モノづくりに興味を抱き、製造業向けシステム開発プログラマー、SE、業務およびシステム導入コンサルタントとして従事。また、ナレッジマネジメントやWebデザイン開発などにも関与。