ビッグデータマガジン

「“それ知ってる”症候群」日経情報ストラテジー誌「ビッグデータ活用、4つの罠」連載記事より

time 2014/06/03

「“それ知ってる”症候群」日経情報ストラテジー誌「ビッグデータ活用、4つの罠」連載記事より

ビッグデータマガジンの高橋です。
日経情報ストラテジー誌の連載3回目の記事が掲載されました。

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日経情報ストラテジー 2014年7月号

ビッグデータ活用、4つの罠 第3回

“それ知ってる”症候群 わかっているが行動せず(89p)

http://ec.nikkeibp.co.jp/item/backno/IS0267.html

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以下、限られた誌面で書ききれなかった内容です。日経情報ストラテジー誌と合わせて、ご一読ください。

 

■第3回「“それ知ってる”症候群」について

<「それ知ってる」の反対語は?>

ビッグデータを用いた分析の結果、得られた示唆に対して時々発せられる「それ知ってる」という言葉は、「その示唆には価値がない」という言外に含まれる意味を感じざるを得ないものとして、データサイエンティストに突き刺さってきます。

データサイエンティストのやる気自体を損ないかねない「それ知ってる」という言葉ですが、その反対語はどのようなものでしょうか。

私が見てきた多くの現場では、今まで知らなかったような新たな相関関係やKPIが提示された時、「それ知ってる」の反対語である「それ知らない」という言葉が発せられるのではなく、「そんなことはありえない。偶然だ。」「それは使えるのか?」という疑いに満ちた言葉が発せられるのです。

 

<根深い勘や経験のマネジメント>

ビジネスの現場では、勘や経験で判断し、行動に移すということが頻繁に行われています。長年の経験で培われたものは100%とはいえないまでも、非常に精度の高い仮説となるので、ビジネスでは大きな成果を時に生み出すこともあります。

ビッグデータは、そのような勘や経験のマネジメントを否定するものではありません。ビッグデータはあくまで手段であり、勘や経験のマネジメントを下支えすることもあれば、新たな視点を提供してくれるものなのです。

しかし、勘や経験のマネジメントがメインの組織では、ビッグデータ分析そのものに懐疑的になってしまい、その結果「それ知ってる」「そんなことはありえない」と、とにかく否定的な発言になってしまうようです。

 

<Knowing – Doing Gap>

誌面の真ん中に、「行動が伴ってこそ分析は生きる」と書いたとおり、本来知ってるかどうかではなく、実際に行動する事こそが重要です。

「それ知ってる」という言葉は、面白いことに、行動が伴っていないときに発せられることが多く、もし行動に移しているものであれば、例えば「それすでにやってるよ」というような違った言葉が発せられているはずです。

この「頭ではわかっているがやっていない」という状態のことを、Knowing-Doing GAPと呼ぶことがあります。

「分かっているが行動できない」というこのGAPがなかなか解消されないのは、単純に、多くの人が「理解していること」を「行動に移す」ための方法がわからないからなのです。

データサイエンティストは、解析して終わりではなく、その後のビジネスへの実装、成果の創出までを担う存在だと言われています。ただ単に解析結果をひねり出したり、目新しいかどうかという議論につきあったりするのではなく、ビジネスに落としこむ上でのアプローチや、つまずきやすいポイントなどを提示し、しっかり成果に結びつけてあげることこそが求められる役割です。

ただ、データサイエンティストも人間なので、否定的な発言の中でその意見に抗うように成果を追求できるマインドまで備えろというのは非常に酷な話です。組織全体として、データサイエンティストを支援し、得られた示唆が知っているかどうかではなく、「どのようにアクションに落とし込もうか」という議論ができるような風土を作り上げていってほしいものです。

 

次回の連載が最終回です。データ分析トライアルを手順通り行い、成果を生み出した後に陥る症状について触れます。是非、日経情報ストラテジー誌の次号も御覧ください。

 


<関連記事>

日経情報ストラテジー誌「ビッグデータ活用、4つの罠」連載コラム

第1回 闇雲に集める症候群 中身を知り小さく始める
第2回 データは神様症候群 現場を理解し多角的に見る


<プロフィール>

ビッグデータマガジン編集長 高橋高橋 範光(たかはしのりみつ)

株式会社チェンジ 取締役
ビッグデータマガジン 編集長

大学・大学院で、経営工学や集団意思決定支援を専攻。

卒業後、大手外資系コンサルティングファームに入社。業務システム開発、Webシステム開発、マーケティングROI分析など多方面に渡るITコンサルティングに従事。

現在は、株式会社チェンジの取締役としてIT企業の人材育成に携わりつつ、データサイエンティスト育成事業や、データ解析コンサルティングを手掛ける。

    

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