2017/07/06

ビッグデータ業界のキーパーソンにお話をうかがう「ビッグデータマガジン・インタビュー」。今回は、セルフサービスBIソリューションである「TIBCO™ Spotfire®」を中心に、クラウドやソーシャル、イベントプロセシングまで広範囲に渡るソフトウェアを展開されている日本ティブコソフトウェアの鈴木孝明さま、光明竜幸さまにお話をうかがいました。
―――御社について教えてください。
鈴木孝明さま
日本ティブコソフトウェア株式会社
シニアアカウントエグゼクティブ スポットファイアー製品担当
光明竜幸さま
日本ティブコソフトウェア株式会社
カスタマーアカウントエグゼクティブ スポットファイアー製品担当
日本ティブコソフトウェア株式会社は、アメリカ・カリフォルニア州のパロアルトに本社を構え現在NASDAQに上場しているTIBCO Software Inc.の日本法人として、2000年4月に設立されました。
TIBCO Software Inc. は、全世界25カ国以上にオフィスを置き、2013年度で、全世界の売上が約1070億円(1ドル100円で換算)、営業利益は約248億円を生み出しています。我が社は、4,000社を超えるお客様に対して、21世紀に対応するリアルタイムのイベント対応型ソリューションを提供することで、“2秒の優位性”をもたらしています。
“2秒の優位性”とは、「たとえ数秒、数分、数時間であっても、正確な情報を競合企業より早く、事前に入手することは、6ヶ月後に大量の情報を得ることよりもはるかに価値があります。これがtwo-second advantage(2秒の優位性)です。」という創業者兼最高経営責任者のVivek Ranadivéの言葉から来ているものです。
人間が何かを見て閃く速度は2秒と言われています。“2秒の優位性”をすなわち“閃き”を提供するために、弊社は、オートメーション、イベントプロセシング、アナリティクス、クラウド、ソーシャルの5事業を営んでいます。
ビッグデータ関連でいうと、アナリティクス事業に今回紹介するTIBCO Spotfireは位置づけられています。元々は製薬会社の創薬部門の可視化分析ツールとして活用されていたSpotfireを、2007年に約200億円で買収して一事業としたものです。
他にも、イベントプロセシング事業では、ビッグデータのキートレンドの一つであるCEP(Complex Event Processing:複合イベント処理)も取り扱っており、BIに限らず全方位でビッグデータに対応できるようになっています。
―――TIBCO Spotfireについて教えてください。
TIBCO Spotfireは、一般的なBIツールがデータを早急に集計・可視化するものであるのに対し、単なるデータの集計・可視化はもちろんですが、人間が利用して結果につなげる一連のプロセスを自動化しています。
具体的には、時間がかかる高速大規模演算や繰り返し発生するルーチン処理の部分は計算機で対応し、人間が直感的判断、経験則を適用しやすい状態を作り出せるように、人間と計算機の良い所をかけあわせて作られているということです。
ここに来て改めてBIソリューションがもてはやされてはいますが、BI導入はゴールではなく、あくまでも通過点です。ビジネスに投入して業績につなげるためにも、TIBCO Spotfireは、データ分析の出口の部分に重きをおき、分析しやすさと分析速度を確保することが重要だと考えています。
その結果、ガートナー社やユーザーからも、「IT部門に頼ることなくエンドユーザーが自由に使えるツール」という評価を頂いています。
―――実際にはどのような製品・機能が提供されているのでしょうか?
TIBCO Spotfireは、TIBCO Spotfire AnalystとTIBCO Spotfire Server1台で稼働可能な商品です。
クライアントPCにインストールされるTIBCO Spotfire Analystによって、様々なデータの集計や可視化、統計などが可能になります。また、Spotfire Serverは、様々なDWH環境に安全に接続し、データを抽出・統合します。さらに、分析アプリケーションの配布も実現します。
レポート・データ参照者には、Web Playerを介してブラウザで閲覧可能なSpotfire Consumerも用意されているので、ソフトウェアやプラグインをインストールすることなくレポートを閲覧することが可能です。
また、高度な統計分析が必要な場合には、Spotfire Statistics Servicesにより、S+やRベースの統計モデルを実行できます。
今後は、Spotfire Business Author(Web上でSpotfire Analystと同じ機能を利用可能)を、2014年5月販売を予定しています。
―――TIBCO Spotfireの特徴を教えて下さい。
5つの特徴があります。
1.直感的に利用可能なフィルタリングパネル
2.イン・メモリーデータテーブルを用いたスムーズな表示
3.高度な統計処理
4.iPadのネイティブアプリケーションによるリモート共有が可能
5.1ヶ月の無料利用と1ライセンスからの購入が可能
直感的に利用可能なフィルタリングパネル
使い始めて最初に気づくのは、フィルターパネルでしょう。TIBCO SpotfireにExcelやCSV等のデータファイルをドラッグ&ドロップするだけで、右端に「フィルターパネル」が自動生成され、カラムごとのフィルターが容易にできるようになります。このフィルターパネルを用いることで、即座にデータ分析ができるのがTIBCO Spotfireの最大の特徴です。
さらに、棒グラフや円グラフ等をボタン一つで作成することができます。フィルターパネルから項目をドラッグ&ドロップするだけで、分析軸の変更、分類毎の複数のグラフ作成することができ、データを閲覧しながら利用者が閃いた分析方法を直感的な操作方法で即座に実現していきます。
企業にある様々なデータを簡単に“見える化”し、あらゆる角度から検証することで原因特定までの時間を圧倒的に短縮することができます。
また右端に表示される詳細情報(Detail on Demand)もSpotfireの特徴の一つです。
例えば、大量データを“見える化”し、データをドリルダウンしていき、原因と思われる項目をグラフ上で範囲指定すると、実データが表示されます。この機能を利用すれば、2000万行のデータから目的を持って絞り込んだ10行のデータを簡単に取り出すことができます。
イン・メモリーデータテーブルを用いたスムーズな表示
テラデータやオラクル、SQL Serverなどの分析用DBに対して、TIBCO SpotfireがSQLを自動生成して結果を引っ張ることができ、その結果をイン・メモリーで処理することができるので、ユーザーはDB接続を気にせずに、クリック操作だけで見たい画面を作成・分析することが可能です。
高度な統計処理
TIBCO Spotfireには、一通りの解析機能が標準搭載されていますが、Spotfire Statistics Servicesを用いることで、より高度な統計解析や分析モデルを利用することも可能です。
さらに、バージョン5.0以降では、新たに搭載されたTIBCO Enterprise Runtime for R(TERR)と呼ばれる統計言語で有名なR言語の処理エンジンを用いることができ、Spotfire上でR言語連携が実現されています。
これにより、Rの複雑なプログラムがなくとも、高度な数理モデルを用いた分析ができるようになります。
iPadのネイティブアプリケーションによるリモート共有が可能
忙しいエグゼクティブの方や、モバイルワーカー、外出の多い営業の方に自由自在にSpotfireを利用いただけるように、iTunesからネイティブアプリケーションのダウンロードができるようになっています。
これにより、リモート環境においても、素早く正確に意思決定できる環境が実現できるようになりました。
1ヶ月の無料利用と1ライセンスからの購入が可能
TIBCO Spotfireのトライアル版はホームページからダウンロードすることができ、1ヶ月間英語版を無料で利用できます。
さらに、最近、1ライセンスから購入いただくことが可能になりました。これにより日本語版のSpotfireを非常に安価で導入いただき、多くのユーザー様に実際に触っていただけるようになりました。
―――インタビュー後記
ビッグデータマガジンでは、これまでも様々な“セルフサービスBI”ソリューションを紹介してきました。
今回、TIBCO Spotfireのお話を聞き、ビッグデータという言葉が出るずっと昔からビジュアルアナリティクス、アナリティクステクノロジーに取り組まれている商品であり、ビッグデータというブームに関係なく、顧客に寄り添い、“価値ある情報を少しでも早く顧客企業に提供し、行動に移せるようにする”ことを目的に開発されていることが、ひしひしと伝わってきました。
ソリューションベンダー各社の努力で年々進化する“セルフサービスBI”ソリューションは、我々にさらなる価値のある情報を提供してくれることは間違いないでしょう。むしろ、その情報を基に、迅速に意思決定、行動できるかどうかが我々に問われつつあるのではないかと、改めて感じました。
そこで、次回は、実際にTIBCO Spotfireを導入し、ビジネスに活用している事例をご紹介いたします。
(ビッグデータマガジン 高橋 範光)