2017/07/06
ビッグデータマガジンの高橋です。
2013年は、さまざまなビッグデータ活用の先進事例が紹介され、また、統計手法に関する書籍も増え、ビッグデータ活用を進める土台ができた1年だったように感じています。2014年に入り、「今年は自社もビッグデータ活用を進めるぞ!」と号令がかかっている会社も多いのではないでしょうか。
そこで、企業のCEO(最高経営責任者)やCIO(最高情報責任者)などの情報関連製品やサービスの最終的な導入決定権を有するマネジメント層や、現場改革のリーダーである管理職層を中核の読者ターゲットとする日経BP社発行の「日経情報ストラテジー」誌において、“ビッグデータ活用、4つの罠”という連載を、2014年5月号から開始いたしました。
これまでユーザ企業やSIerからうかがったお話、実際の導入ケースなどから企業で頻出する陥りがちな罠・傾向や現象を「症候群」と名づけ、陥らないための対策も含めて1ページにコンパクトにまとめました。
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日経情報ストラテジー 2014年5月号
< http://ec.nikkeibp.co.jp/item/backno/IS0265.html>
ビッグデータ活用、4つの罠
第1回 闇雲に集める症候群 中身を知り小さく始める(85p)
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以下、限られた誌面で書ききれなかった内容です。日経情報ストラテジー誌と合わせて、ご一読ください。
■第1回「闇雲に集める症候群」について
頻繁に出てくるビッグデータ活用事例を読むと、「1日に10テラバイトのデータを蓄積」、「1.5ペタバイトのDWHを持つ」「10億件のデータを処理」などと記載されていることから、ビッグデータ担当者はついつい「大量のデータを用意しなければ」「まずは受け皿となる器が必要だ」と思考に陥ってしまうようです。
また、担当者がそうでなかったとしても、経営者や管理者が「社内にあるデータをすべて集めれば、うちも大量のデータがあるに違いない。集めてみよう。」という号令をかけてしまい、結果としてこのような状況に陥ることもあるので、実は頻繁に起きている事象であると感じており、第1回の記事として書きました。
しかし、この症状を「目的が明確でないからだ」としたり、「目的が曖昧なままビッグデータに取り組むべきではない」という言葉で片付けたりすべきではないと考えています。
確かに、これまでビッグデータ導入事例として紹介される企業の多くは、目的を明確にしてビッグデータと格闘し、その結果として成功を収めています。
追随する企業も同様に「明確な目的」があったほうがいいのは間違いありません。ただ、もし明確な目標が決まらずに取り組みが遅れているのであれば、ビッグデータソリューションが安価で使いやすいものになってきていることもあるので、「まずやってみよう」という気軽な気持ちで取り組んでみてください。
そのように多くの方がまずはデータに慣れ親しむ事から始めることで、2014年は成功事例が増えてくるのではないかと思っています。
その際に、思い出していただきたいことと対策こそが、連載第1回の「無闇なデータの収集は結果を産まない」に記載した内容です。
引き続き、ビッグデータ活用の裾野を広げ、読者の皆さんの役に立つ情報を提供してまいります。
<プロフィール>
高橋 範光(たかはしのりみつ)
株式会社チェンジ 取締役
ビッグデータマガジン 編集長
大学・大学院で、経営工学や集団意思決定支援を専攻。
卒業後、大手外資系コンサルティングファームに入社。業務システム開発、Webシステム開発、マーケティングROI分析など多方面に渡るITコンサルティングに従事。
現在は、株式会社チェンジの取締役としてIT企業の人材育成に携わりつつ、データサイエンティスト育成事業や、データ解析コンサルティングを手掛ける。